2020/06/02
はじめに
5/25、5/27、5/28、5/29のブログでは「あいうえおの人権教育」の1例として、授業「朗読劇◯◯◯◯」について書きました。
「あいうえお」って何?→https://moheblo.com/blog/textbook-distribution/
朗読劇のあらすじは?→https://moheblo.com/blog/textbook-distribution/
朗読劇のシナリオ全部読みたい!→https://moheblo.com/blog/reading-drama-0-0-0-0/
この授業は、朗読劇「◯◯◯◯」を見た後、題名を考えてもらうのが主な活動でしたが、授業の終わりに「今日の学習はあなたの心にどんな想いを残しましたか?」も書いてもらいました。
「あなたの心にどんな想いを残しましたか」という問いは、「感想」とか「授業を終えて感じたこと」と同じことなのですが…
中学3年生ともなると、道徳や人権学習を受け続けて9年目になります。
だから、きれいごとを書くくせがついている子たちも少なからずいます。
できるだけそうならないようにしてみたわけです。
さて、子どもたちはどんな想いを書いてきたのでしょうか?
では、〇〇〇中学校3学年だよりミニ No.61(2018年7月18日)の通信を紹介します。
朗読劇「◯◯◯◯」③
授業・朗読劇「◯◯◯◯」について最終号です。
学習プリントの最後の問は「今日の学習はあなたの心にどんな想いを残しましたか」でした。
すてきな内容がたくさんでしたがここでも「勝手にもへちゃんセレクト」を紹介します!
感想23(1組◯さん)
今日の学習で、教科書無償の話は知っていたけれど、◯◯から立ち上がって運動を起こした親たちがいることはあまりくわしくは知らなかった。けれど今日知って、改めて教科書を大切に使おうと思いました。あと、奨学金について知ることができてよかったです。
感想24(6組◯◯さん)
教科書無償の話は知っていたけど、なぜ◯◯から起こったのかという「紫雲丸」の話は知らなかったので、今日、初めて知って心に残った。
感想25(6組◯◯さん)
教科書が買えなくて学習できない子どもがいたということは知っていたけど、修学旅行の時にカバンをとりに返って亡くなった子ども達がいたということは初めて知りました。「子を思う優しい心と、借りたものを返さなきゃと思った子どもの優しい心が犠牲大きくした」という文章がとても心に残りました。
感想26(6組◯◯さん)
部落差別受けていた子どもの親が「夢ならばどれほどいいだろう」と言ったところが、ズーンと心に残りました。
感想27(5組◯◯さん)
教科書無償運動はいろんな人たちの思いで行われたし、「この運動を始めよう」と言った人々もすごいと思うし、感謝しなければならない。
感想28(6組◯さん)
◯◯の母の思いや、たくさんの人たちの「子どもを平等にしたい」と願う気持ちに感動した。そして今、「教科書無償」や「奨学金制度」ができたことに感謝しようと思った。
感想29(1組◯◯さん)
今ある「教科書無償」や「奨学金制度」は◯◯の人たちの運動のおかげなので、当たり前に思うのではなく、感謝して生活しようと思います。
感想30(3組◯◯さん)
教科書無償は当たり前じゃなくて、差別された人やいろいろな人のおかげで無償になっているということを改めて知ることができたし、学ぶことができたのでよかったです。
感想31(5組◯◯◯さん)
運動を起こすことは決して簡単ではないのに、勇気をもって運動を起こしてくれた人に感謝しないといけないし、たくさんの困難があってこそ、現在にいたると思いました。
感想32(6組◯◯さん)
60年前にこのような出来事があったから、今の教科書無償があるから、60年前、運動を起こしてくれた人たちに感謝だなと思いました。
感想33(6組◯◯さん)
◯◯の親たちがもしあそこで立ち上がっていなかったら、もっと長い間、教科書は買うものになってたんじゃないかなと思いました。あそこで立ち上がってくれた◯◯の親たちにすごく感謝しなきゃいけないと思いました。
感想34(6組◯◯さん)
60年前に部落差別を受けていた親たちが運動を起こしたことで、今、私たちが教科書を無償でもらったりできているので、感謝をして大切に使わなければいけないなと思いました。
感想35(1組◯◯◯さん)
この学習を通して勉強ができることはあたりまえじゃないと思った。
運動を起こしてくれた人たちに感謝したい。
感想36(2組◯◯さん)
今、自分が平等な教育を受けられていることがすごいと思った。
感想37(2組◯◯さん)
時代をまたいでも変わらない「親が思う子への気持ち」はとても深く、それは今も変わらず受け継がれていることが、今日の勉強でよくわかりました。受験やその先の未来に、勉強を活かすことによって、奨学金制度や教科書無償が、心からあってよかったと思えるようになると思います。
感想38(3組◯◯さん)
教科書無償になったのは、◯◯の人たちが一生懸命訴えてくれたからだし、「無償とせよ」という思いが出てきたのは、部落差別や子への愛情があったからだと思ったので、昔の人の期待に応えます。
感想39(4組◯◯さん)
今の私が幸せなのは、昔の人の思いもこもっているんだなと思った。
感想40(5組◯◯◯さん)
今まで気にもしなかった「なぜ◯◯でそんな運動が起きたのか」ということがわかった。親も子も悪いことをしていない。親は子の、子は親のために行動した結果が死を生む。その親の思いはつらかったんだろうなと思った。そして原因となった命を奪う差別は決して許してはいけないと思った。
感想41(5組◯◯さん)
自分のためでなく、みんなのために、声を上げて頑張ってくれた多くの人々に感謝を言いたいと思いました。
感想42(5組◯◯さん)
教科書無償運動を起こした◯◯の人々の思いを受け継いで大事に使いたいと思った。そしてこれを未来につなげようと思った。
感想43(3組◯さん)
差別を受けていた人たちが、差別する人の分まで頑張ったことがとてもすごいと思い、差別反対の意識を高めさせられました。
おわりに
先生の書く文字数
この通信では、私の書いた文章は冒頭の101字のみです。
私が書きたいことを子どもが書いてくれているから、それでOKなのです(^^)
子どもの文章の波紋
この通信には、子どもの文章が21人分載っています。
その子は、嬉しそうに、もしくは恥ずかしそうに、家に帰ってお家の方に通信を見せる。
そして授業「◯◯◯◯」のことを語る。
狙い通りの保護者啓発です(^_^)v
お家の方に報告しない子もいるかもしれません。
けれどそのうち「お宅の◯◯ちゃん、学年通信に載ってたわねぇ。しっかりした考えを持ってるわね」なんて、保護者どうしの世間話で知る…これも狙い通りです。
直接言うより、第3者から褒められた方がより嬉しいと思いませんか?
朗読劇「◯◯◯◯」や「あいうえおの人権教育」のイメージ、伝わったでしょうか?
あいうえおの人権教育の対極の授業
さて、他の先生の道徳の授業を見て気になることがあります。
- 数名の同じ子ばっかりが発表して、「そうだね」と先生が相槌を打って授業が進む。
- その対策として1人ずつ指名する方法で授業される方も多い。
反応のうすい授業ってやつです。
部落差別をはじめとする様々な差別について学習をしくむ場合、それらではいけないと思っています。
だって、実際に差別に苦しんでいる人がいるのですから。
子どもが体を乗り出すように授業に参加し、被差別の立場の人の思いを体験し、仲間と協力しあってより深まっていく。
そんな「あいうえおの人権教育」っていいなぁって私は思うのです。
あいうえお+『学び合い』
さて、『学び合い』の考え方で「あいうえおの人権学習や道徳」にとりくむと、さらにもう一段、上の授業をつくることができます。
私はそれを勝手に「血湧き肉躍る人権学習・道徳の授業」と呼んでいます(^^)
以前、勤めていた学校でとりくんだ「血湧き肉躍る人権学習」について、find! アクティブラーナーでとりあげてもらいました。
リンクを貼っておきますね😊
でもこれは名前も学校名もバッチリ出ちゃってるなぁ。まっいいか 笑。
動画の方は無料版だとあっという間に終わるダイジェストしか見られません。
画像の右側にある「>」を押すとインタビューの動画に変わり「この動画の内容を文字で読む」を押すと、インタビューを文字起こししてくれていて、こちらはタダで読めます!
話を元に戻しましょう。
学年部会で指導案を話し合い、どのクラスでも「あいうえおの人権学習」にとりくんだとしても、授業をする先生がふだん差別的であったとしたら…。
私は、それでは子どもの心を涵養(かんよう)すること(水がゆっくり染みこんでいくように、ジワジワと子どもの心に人権感覚が育っていく)はできないと思います。
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