2020/11/30
はじめに
文科省は、今後求められる学力を「確かな学力」としています。
「確かな学力」については、次のように定義しています。
これからの未曾有の激しい変化が予想される社会においては、一人ひとりが困難な状況に立ち向かうことが求められるが、そのために教育は、個性を発揮し、主体的・創造的に生き、未来を切り拓くたくましい人間の育成を目指し、直面する課題を乗り越えて生涯にわたり学び続ける力をはぐくむことが必要である。
このために子どもたちに求められる学力としての[確かな学力]とは、知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や、自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力等までを含めたものであり、これを個性を生かす教育の中ではぐくむことが肝要である。
「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について(答申) 2 子どもたちに求められる学力についての基本的な考え方」より引用
例えば、今までの大学入試は、知識の量で合否が決まりました。
しかし今後は、思考力・判断力・表現力をも合否の判定に含めるそうです。
今回紹介する通信は、知識偏重まっただ中の1996年12月16日に発行した「学級記録 No.79」です。
当時のもへちゃんが考える「学力」とは何だったか。
はじまり、はじまり~
自分もよし、他人もよし
ベランダから下を見るとイチョウの葉っぱの鮮やかな黄色が目にとまった。
ふだんの忙しさのせいか、今まで気づかずにいた。
昨年も、一昨年もこの時期になると鮮やかな黄色を見せてきたんだろう。
学力とは(1992年度の学習委員長による定義)
生徒会合宿も近づいたので、何年か前の委員長が書いたプリントを見てたら
学力とは
学力とは鋭いナイフのようなものである。
持てば人を殺すこともできるし、縛られている人のロープを切って救うこともできる。
ただ、単に知識を増やしていくことだけが学習ではないことを、全校生徒に理解させたい。
と書いてあった。
今から4年前
「相手のことを知る。そして…」を生徒会スローガンとした時代の学習委員長が書いたものだ。
あれから4年、イチョウの葉は繰り返し鮮やかな色を見せてきた。
3の6は今
3の6の君たちは、12月に入ったあたりから気合いが入ってきたように見える。
班ノートには、よく「今、1時をまわったところです」みたいな記録が書かれている。
自分の進路をつかむために「逆転」めざしている人も多い。
だから今は、質・量とも勉強については増えているはずだ。
200時間をめざせ
と僕は時々言ったりしている。
「縛られている人のロープを切って救う」ための学力
今、君がつけている学力を、高校入試のためだけと考えてほしくはない。
10年後、20年後に「縛られている人のロープを切って救う」ために、今、君は力を付けているんだと考えてほしい。
君が救おうとするのは、恋人かもしれないし、友人かもしれないし、日本の中で苦しんでいる人かもしれないし、世界の中で悩んでいる人たちかもしれない。
その対象が誰であれ、君が関わる人たちを幸せにできる力を、今後つけてほしい。
高校入試は、その始まりなんだ。
真逆の学力
以前、
学校の授業中は、私語しっぱなしで、
「勉強?そんなのしよらん(してない)」
そう言いながら、こっそり、まわりの人が行かないような遠い塾で、ものすごく勉強してた生徒がいた。
彼は
ライバルを油断させてなぜ悪い。
油断する方が悪いったい(悪いんだ)!
と僕に話した。
卒業後、3度あった同窓会に彼は1度も来なかった。
彼は「人を救うための学力」をつけようとしたのではなく、「高校受検突破のための学力」をまわりの友人の力を落とすことで、高めたかのように錯覚したわけだ。
その結果、中学時代の友人と故郷での友を失ってしまった。
受験直前の今
受験勉強は1人ひとりにとって、ギリギリの努力が必要とされる。
だからこそ、その人の人間性が試されるんだ。
- 「自分によし」の勉強法なのか
- 「自分もよし、他人もよし」の勉強法なのか
あなたの生活をふりかえってほしい。
ギリギリ努力している今だからこそ。
3の6は今②
- 朝勉の人数が1人増えた!
- セミナーはかなりとりくめている!
- 休んだ人の授業保障は…?
- 休んだ人への連絡は…?
- 授業中の教え合いは…?
- 授業中の集中力は…?
- 油断させあっていないか?
- …
おわりに
まわりを助けることは、あなたにとって得!
- この通信を書いていた頃のもへちゃんも
- その数年前「ライバルを蹴落としてなぜ悪い」と言った子に接していたもへちゃんも
まだ『学び合い』の考え方に出会う前でした。
だから、「ライバルを蹴落とすこと」が、なんとなく間違ってることは感じつつも、きちんと話すことができませんでした。
『学び合い』の考え方を知った今なら、たちどころに話せます。
まわりを助けることは、あなたにとって得になるんだ
ってことを、たくさんの例を示しながら話すことができます。
例の1つとして、文科省の「確かな学力」を使っても話せます。
それについては以前 ↓ こちらで少し触れました。
救われてます
この通信を書いていた1996年度もへちゃん組の1人から、病休中のもへちゃんに、時々電話をくれる子がいます。
その子(と言っても、もう30代後半ですが 笑)は、病休に入ったばかりの頃には「先生、コーヒー飲もう。出てこんね」と誘ってくれたりもしました。
電話で
歩き出さんと、いかんよ
と心配してくれるその子の言葉は、まさに
10年後、20年後「縛られている人のロープを切って救う」ための力
そのものです。
ありがたい(^^)
コメント