2020/12/09
はじめに

12/4~10が人権週間ってことは、前回のブログで書きました ↓
さて、人権作文集をクラスに1冊ずつ配布されるってことは、よくあります。
私も、人権教育担当だった頃、各クラスの配布ボックスに1冊ずつ入れたりしてました。
けれど、「人権作文集をクラスに1冊ずつ配布する」ことで、子どもたちの人権感覚がupするなんて、決してあり得ません。

それっていかにもお役所的?もしくは議会対策的な発想です。
ならば、せめて学級通信で

人権作文集、読んでみたいなぁ
なんて気持ちに、させたいと思ったわけです(前回のブログ)
そんな気持ちになった子が、書いてきた連絡帳の4行日記。
さて、子どもは何と書いてきたでしょう?
では「学級記録 No.64」(2006年2月13日発行)を紹介します。
行動に移す
記録143
今日、人権作文集を見ていて、
私たちのまわりには差別やいじめはないけれど、
世界には、人種差別などの差別があり、
その差別を受けた人の悲しみや悔しさがまだ世界にあり続けていることを知り、
1日でも1分でも1秒でも早く、
その悲しみや悔しさがこの世界から無くなってほしいと願い続けるだけじゃなく、
行動に移さなければならないと思った1日でした。
子どもの世界にだけ、いじめや差別があるのではない。
残念ながら、大人の世界にも存在する。
- 肌の色が白いか、黒いか、黄色いか
- 視力が高いか、低いか
- 聴力が高いか、低いか
- 身体を動かすのが不自由か、自由に動かせるか
- 外国人か、日本人か
- 仏教徒か、イスラム教徒か、キリスト教徒か、それ以外の宗教か
- 女性か、男性か
- どこで生まれたか
共通するのは、差別をする人の顔の表情だ。
とても意地悪く、醜い表情になる。
長くその心を持ち続けると、その意地悪な顔が一時的なものでなく、その人の顔そのものになってしまう。

今の1の4は、笑顔がいたるところで花咲いている。
国語の時間も、英語の時間も、CAPの時間も。
いじめや差別がない状態の素晴らしさ、1人ひとりの心地よさを訴えることができるのは、それを味わいつつある君たちなんだ!
もっともっと素晴らしさを味わおう。
そして、その素晴らしさをたくさんの人に伝えよう。
生徒会執行部である◯◯◯さんは、是非とも世界一人権が大切にされた学校を作ってほしい。
記録143を書いた◯◯◯さんも、できれば来年度、生徒会執行部に入ったり、学級委員になったり、部長になったり、班長になったりして、すてきな集団を作ってほしい。

そして、1の4のみんな!
あと29日過ごして、2年生になったとき、そのクラスでいじめや差別と闘って、心地よいクラスを作ってほしい。
もう1日あるCAPのワークショップでも、積極的に行動に移して、楽しい中にも真剣な時間にしてほしい。
1日でも1分でも1秒でもムダにするな。
記録144
また1週間が終わる。
そして、1年生ももうスグ終わる~。
その時は「遅い」と思っても、今思うと全て早かったなぁ。
おわりに

「CAP(Child Assault Prevention=子どもへの暴力防止プログラム)」については、前々回のブログで紹介しました ↓
子どもたちの人権感覚を深めるための3年計画
子どもたちの人権感覚を高めるためには、「人権作文集を配る」だけでなく、
- 年度当初に先生方に「人権感覚を高める必要性」を理解してもらい
- 子どもの実態に合わせた教材を作り
- かつ3年間(中学校の場合ですね)の積み重ねを意識した計画を作って、提案
しなければなりません。
組織的にとりくまなければ、子どもたちの人権感覚を高めていくことは難しいです。
あなたが人権教育を学校づくりの基板にしていない学校にお勤めだったら
では、あなたが人権教育を学校づくりの基板にしていない学校にお勤めだったら…。
もへちゃんだったら、学年で人権教育の係になり、1年1年実践を積み重ね、3年間とりくんだ後、学校全体に提案します。
というか、そうしてきました。
時間と労力、そして情熱が必要ですが「人権作文集を読みたくなる学級通信を書く」より効果的です!
「学級通信を書くより効果的」な方法をわかっているのに、通信を書いたわけ
ではなぜ、今回紹介した通信をもへちゃんが書いたのでしょうか。
それは異動してきて1年目で、まだまだ学校全体で人権教育にとりくもうとする雰囲気がなかったからです。
だからせめて通信中で、子どもたちに

ともにガンバロー
というサインを送りまくっていたわけですね(^^)
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