2021/06/14
はじめに
座高測定のびっくりな理由
学校の身体測定で「座高」が消えてだいぶたちます。
調べてみると2014年の学校保健法改正により、検査項目から外されたみたいです。
座高測定は、「足が短ければ重心が低くなるからいい兵士になる」…そんな理由で始まったらしいので、さっさとやめるべきでした。
では検便は?
さて、今回紹介する通信は1991年に書いた通信で、文面に「検便」の文字があります。
当時はまだ「検便」があってたわけです。
検便については、今でも人間ドックの際は持参するし、「座高」みたいな変な理由ではなく、ちゃんとした理由もありそうなものですが…
なぜなくなったのでしょうか?
まずは「検便」の必要性を説いた「2年3組学級記録 No.22」(1991年5月27日発行)を紹介します。
健康
記録22
今日、先生が学級記録にチェルノブイリのことを書いていた。
もう5年も経つなんて早いな~(ついこないだまで「みやざきつとむ」とかが話題だったような気がするのに、実はもうだいぶん前のことになってしまってる…)
原子力発電所は、今は無いと困るけど、作って爆発して人が死ぬんなら作らない方がいいと思う。
フロンガスのスプレーとか、早く無くなって欲しい。
核兵器とか、早く無くなって欲しい。
でないと、地球の未来はきっとナウシカみたいになるぞ。
EKさんの班ノートの記録より引用
記録23
どこもかしこも毛虫ばかり。
毛虫の木の下には、足の踏み場もない。
毛虫が木から落ちるのを見て、ゾクッとした。
もうすぐカメムシも出てくるに違いない。
早めに消毒してほしい。
カメムシは、くさい。
MTさんの班ノートの記録より引用
自然のバランスが、なんとなく狂ってるように感じる。
カメムシの異常発生も、人間に原因があるそうな(このことをもっとはっきり書きたいのだけれど、そのことが書いてあった本は、段ボールの山のどこかにあって、見つけきらなかった)
昨日の新聞には、
空気中から猛毒のダイオキシンが検出され、その上、母乳からはもっと濃いダイオキシンが検出された
と書かれていた。
ただ空気を吸うだけで身体に毒がたまっていく世の中なのだろうか。
君の身体はどうだろうか?
異常はないだろうか?
学校は「生きる力」を養うところ。
だから、今の身体を大切にしなきゃならない。
ということで、検便を実施します。
検便提出日
5月27日(月)~5月29日(水)
例えば、
- 勉強に集中できない
- なぜかイライラする
とかの原因の1つに、
腹の中にギョウ虫がいるのかもしれない
というのがある。
検査はわずらわしいけれど、身体の中に1m~2mもある虫がいて、そのために勉強とかいろんなことに集中できてないとしたら…
そんな虫、許しちゃいけない!
おわりに
検便がなくなった理由
学校で「検便」が無くなったのは、ぎょう虫の検出率が、
1959年 | … | 1984年 | … | 2014年 |
22% | ↘ | 3.36% | ↘ | 0.13% |
ときわめて低くなったことから
衛生状態の良い現代に、学校で寄生虫卵の検査をする意義はかなり乏しい
と結論づけたためみたいです。
ちゃんとした理由でした(^^)
人間ドックで検便がある理由
ちなみに、人間ドックの際に検便を行うのは、ギョウ虫発見のためではなく「便潜血」について調べるためです。
「便潜血」を調べることで
- 消化管の出血性の病気
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
が調べられるそうです。
色覚検査は?
2002年廃止、その理由は
ちなみに、色覚検査も2002年度から廃止になりました。
理由は
- 色覚検査をすることが差別につながってきた事実があった
- 現代では色の見え方が違っても生活の中で困ってはいない
- 治療しようと思っても根本的な治療法はない
です。
すなわち、
今までは「色盲」「色覚異常」「色覚障害」と、とらえてきたけれど、これからは「色覚特性」「色覚多様性」と捉えよう!
って流れが動き出したわけです。
産業界は学校よりも1年早く、2001年から就職試験における色覚検査が廃止になりました。
労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について
基発第634号
平成13年7月16日
厚生労働省労働基準局長
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第172号)が、平成13年7月16日に公布され、平成13年10月1日から施行されることとなったところである。
ついては、下記に示す改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図り、その運用に遺漏なきを期されたい。
改正の趣旨
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく雇入時健康診断は、雇い入れた労働者の適正配置や入職後の健康管理の基礎資料を得ることを目的として事業者に対して実施を義務付けているものであり、色覚検査についてもこの一環として実施されてきたものである。
しかしながら、色覚異常についての知見の蓄積により、色覚検査において異常と判別される者であっても、大半は支障なく業務を行うことが可能であることが明らかになってきていること、さらに色覚検査において異常と判別される者について、業務に特別の支障がないにもかかわらず、事業者において採用を制限する事例も見られること等から、今般、雇入時健康診断の健診項目としての色覚検査を廃止する等所要の整備を行ったものである。
厚生労働省労働基準局長「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」より引用
逆行の動き…気をつけよう!
しかし、教育の場、産業界の場での色覚差別撤廃の流れに水を差すかのごとく、2012年日本眼科医会が
「色覚異常」を自覚していないのは問題
として
学校で検査が進めるべき
と記者発表しました。
その圧力?により、文科省も「希望者は学校で検査できることを周知するよう」事務連絡を出しました。
その結果、現在の学校現場では、問題が多く含まれている「石原表・簡易検査」を希望者に実施するようになりました。
あなたの子どもが小中学生だとしたら
このブログを読んでいる方で、わが子が小中学校に行っている方は、色覚検査を安易にわが子に受けさせるのではなく、情報をしっかり仕入れた上で結論を出してほしいと思います。
もし、学校でわが子が「色覚異常」と判断されても、実は「色覚異常」は日本では男性20人に1人、女性では500人に1人の割合で存在するってことを子どもに語ってください。
そして、これらのすごく多い人数の人々に対して、かつては「色覚異常」を理由に進学・就職差別をしてきたのは国連加盟国中、日本だけだったことも語ってください。
だからこそ、2001年に厚生労働省は、就職試験での色覚検査を廃止するよう通達を出したのです。
文科省が、そして学校現場が、逆行していることが残念でなりません(T_T)
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