2020/12/22
はじめに

被災された方に「頑張ってください」と言う言葉には、問題があります。
理由、わかりますか?
「被災者 がんばれ」でネットを検索してみると、数多くのページで解説してたので、詳しく知りたい方は検索してみてください。
今回紹介する「2016年 おみやげ通信 No.2」…2016年に行われた全「同」教大会後に発行した通信…(2016年11月28日発行)の記事の中にも、善意であろう「がんばれ」が出てきます。
「善意だったらいいのか」考えながら、お読みくださいm(_ _)m
部落を受け止め始めた生徒との関わり
長野の◯◯中の報告は、解放子ども会のないところでのムラの子の立場の自覚について語られました。
※解放子ども会…部落解放同盟の指導もしくは影響のもとにある部落の子ども会をさす(部落解放・人権研究所「解放子ども会改革検証のために」より引用)
素敵な母
公民館で行われていた人権アートポスター展を見てきた我が子が




人権啓発って、他のはわかるけど「部落差別」ってなんだかわからない
と母に話したところから、全てが始まりました。
母は

来た!

何を話そうか、頭の中でいろいろなことがグルグルし、とてもドキドキした
けれど

「部落」とはお母さんのことです
と切り出したそうです。
このお母さんは子ども時代、解放子ども会で学びながら育ちました。
その子は母の話をしっかり聞き、後に人権作文に次のように書きました。

今、学校生活を送る上で、何も問題はない。
しかし、これから結婚する時に、相手の人や家族に何か言われるかもしれない。
もしそうなったら、きっと私が初めて受ける差別になる。
それにきちんと向き合えるのか、少し不安はある。
だから私は、今からこのことについてよく勉強し、何か言われた時に自分の気持ちが言えるようにならなくてはいけないと思う。
素敵な父
この子の父は、お母さんと職場で出会いました。
お母さんが、職場で自分の出身を話した際、まわりの

頑張れ
という言葉に違和感を覚えました。

差別をしているのは、俺たちの方じゃないか。
「頑張れ」というのは、おかしい。
頑張るべきは、俺たちじゃないか
と思ったそうです。
自らの学校をふりかえると
私たちが勤務する学校で、ムラの子が、自分の立場を知らないってことは、あり得ます。
そのような場合、たいてい解放子ども会の支えもありません。
そして、彼らがもし差別を受けるとしたら、その最初の差別は結婚差別になる可能性は高いと思います。
ならばせめて、私たちが人権部落問題学習にとりくむ際、

この「お父さんのような視点」を持つまわりの生徒を育てていく必要がある
と感じました。
おわりに

「頑張れ」という言葉を、被災者や被差別の人に対しての
- NGワード
- 言ってはいけない言葉
と理解し、使用を控える…
これは人権感覚のある人に成りたい場合の「レベル1」あるいは「最初の1歩」だと思います。
しかし、決して求める理想の姿ではありません。
求める「真のつながり」とは
例えば、
これらのとりくみでは、発表する子のしんどい生活を理解していて、普段から発表する子のしんどさに寄り添い、心と心が通じ合っているツレ(クラスの仲間)が

あなたが、しんどいのは知っとるよ。
けれど、くさったらいかんやろ。
頑張らんといかんやろ!
と声をかけます。
熱い熱い「返し」です。
「頑張れ」のような、一見正論であるけれど「NGワード」「言ってはいけない言葉」と思われる言葉は、
- 深く深くつながっている人間関係の人が
- 表面ではなく心情の部分まで、相手の事情を分かっていて
- お互いの心と心が通じ合っていて
- その言葉を言うべきタイミングで
発することで、強くて熱い声援になり得るのです。
「集中ホームルーム」や「進路公開」とは、「言うべきタイミング」を授業の場で作り出すなのだとわかりました。
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