2021/05/26
はじめに

中1生の6月にとりくんだ人権学習「何から始めたらいいのだろう」。
この教材の素晴らしいところは、同様の出来事が起こった時にこそ表れます。
今回は、10月・合唱コンクールの練習中におこった出来事に対して、「何から始めたらいいのだろう」をふりかえった通信「1年4組学級記録 よき日のためにNo.25」(2015年10月5日発行)を紹介します。
何から始めたらいいのだろう
昨日の夕方、病院から戻ってきてU先生に

どうでしたか?
と聞いた。
もちろん合唱練習のことだ。
そしてU先生から意外な言葉を聞いた。

大変でした(>_<)
と。

TOMORROWの合唱をめぐって、いたるところでもめごとが起こったんです。
とも聞いた。
4月から時々言ってきた日がついにやってきた。

もめごとがないクラスがいいクラスじゃないんだ。
そのもめごとを、どう乗り越えたかで「いいクラス」になれるんだ。
と。
1年4組版 何から始めたらいいのだろう

何人も泣いている人がいました
とも聞いた。
そんな人たちは、こんな風に思っているかもしれない。
「ブロック魂」というのが、4月に決めた学級目標だ。
でも、私は今、全然楽しくない。


昨日、途方にくれた人たちが何人もいました
と聞いた。
そんな人たちは、こんな風に思っているかもしれない。
このクラスも私も、このままじゃだめになる。
あと2週間で文化祭だ。
このまま文化祭になるのは嫌だ。
私は、何から始めたらいいのだろう。


この四角の枠の言葉、見たことない?
以前やった道徳「何から始めたらいいのだろう」の最後の文章を、今回の問題風に書き換えてみたものだ。

さぁ、何から始めようか?
整理してみよう
- ◯ 音楽の時間、I先生から「1の4の合唱は素晴らしい」と言われていた
- ◯ 1の4の学級目標「ブロック魂」を決めた時に求めたクラス像は
- 誰一人見捨てないクラス
- メリハリのあるクラス
- 助け合えて楽しいクラス
- 明るく楽しいクラス
- 明るく楽しく協力し合えるクラス
- けんかのない楽しいクラス
- 思いやりのあるクラス
- 「自分がやる」と積極的なクラス
- 粘り強いクラス
- 笑顔いっぱいのクラス
- 相手のことをわかり合えるクラス
- 固すぎず、ゆるすぎず、いつでも楽しいクラス
- いじめがないクラス
- 全員で1つのことに向かってがんばれて、共に成長できるクラス
- めっちゃ楽しいクラス
だった。
- ✕ 昨日の練習でくやしい思い、腹立たしい思いを何人もの人がした。
この6ヶ月で僕が思うこと
- 1の4のいいところは、「やろう」と決めたことに関して、全員で情熱的にとりくめるところだ。例えば「◯中ハリケーン」、例えば「一学期終わりくらいの提出物」、例えば「授業開始の挨拶」
- けれど、「できて当たり前」ってことを、個人にまかせた場合、いい加減になってしまうこともよくある。例えば「授業中の私語」、例えば「黙想がなかなかできない」、例えば「カンニング事件」
- 「班長立候補がなかなか出てこない」、「班ノートが出てこない」など、現在1の4は停滞している。これは僕のせいでもある。
- 負けず嫌いの人が多い。ちなみに僕もそうだ(笑)。
- 僕はぜひ、この問題を君たちに乗り越えて欲しい。そして合唱コンクールが終わったときに、涙を流して喜び合いたい。今こそ「ブロック魂」の①~⑮を求め通して欲しい。
そこで提案
- パートリーダーは、I先生の音楽の授業を真似する。I先生って怒るの?
- パートリーダーは、I先生にパート練習の方法を聞きに行く。
- パートリーダーは、赤ブロックの先輩のクラスにパート練習の進め方を聞きに行く。
- パート全員で、上手な先輩のクラスの練習を見に行って、素敵な歌声に感動してあこがれてくる。
- 他の1年のクラスに練習試合を挑んで、全員で危機感を味わう。
- 大きな声で、本気で、にやけずに、お互いに「ごめんなさい」を言い合う。
- その他、僕が考えつかない方法で、この問題を乗り越える方法を考えて!
選択しよう
これら1~7のどれをするかをみんなで決めよう。
そして決めたからにはとことんやろう。
「やろう」と決めたことに関しての君たちの情熱は、もう証明済みなんだから。
おわりに

中1生の6月、人権学習「何から始めたらいいのだろう」にとりくんだクラスだからこそ、あの日書いた感想は、単なる掲示物ではなく、こんな日のためのいわゆる「契約」です(^^)

書いたからには、実行してもらう!
と迫ります。
子どもたちが、もへちゃんのえげつなさを実感する瞬間です(笑)
でも、ただ

さあやれ!
書いたからには、やってもらう!!
と言うだけでできるくらいなら、大きな問題に発展したりしません。
問題を乗り越えるためのその1「客主堤選」
問題を乗り越えるためには、それまでの日々が重要です。
今回の通信には、解決のための筋道を示していました。
- 客観的事実
- 昨日起こったこと
- 今回の通信の「1年4組版 何から始めたらいいのだろう」
- 今回の通信の「整理してみよう」
- 主観的主張…今回の通信の「この6ヶ月で僕が思うこと」
- 提案…今回の通信の「そこで提案」
- 選択…今回の通信の「選択しよう」
こんな流れで問題を解決する方法を考えることを、頭文字をとって「客主堤選」と言います。
人権教育についての講演会で、もへちゃんが大好きな大阪教育大学の森 実さんから教えていただきました。
このことは、以前、ブログで紹介しましたので、興味ある方は、こちら ↓ へ。
もへちゃんは夫婦げんかを「客主堤選」で乗り越えて以来、この方法を信頼しています(笑)
客主堤選のポイント
「客主堤選」の重要なポイントは

「選択」を相手にまかせること!
です。
「選択」で「その他、僕が考えつかない方法で、この問題を乗り越える方法を考えて!」を入れるのも忘れてはなりません。
問題を乗り越えるためのその2「班長会」
もへちゃんは、どんなに忙しくとも「週1の班長会」にとりくんでました。
と言っても、子どもたちも放課後は部活動に行きたいから、もっぱら昼休みです。
毎回の議題は
- 困ってることは?
- 悩んでる人はいない?
- どうとりくむ?
です。
そしてクラス全体にも言ってましたが、班長たちにはさらに

問題は必ず起こる。
問題が無いクラスが「いいクラス」なんかじゃない。
問題をどう乗り越えたかで「いいクラス」に近づいていけるんだ!
と言い続けます。
このようにして、日々の生活の中で起こる大小様々の行き違いや問題を乗り越えさせ、乗り越えたことを評価(ほめる)してました。
「選択」を班長会で話し合わせる
今回紹介した通信に書かれた問題については、そんな経験を積んだ班長たちにプラスして、パートリーダー、指揮者、文化祭実行委員たちに「どれを選択するか」考えさせました。
その結果を、帰りの会でクラスみんなに報告した後はもちろん

選んだからには、やってもらう!!
です(^^)
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