2021/02/12
はじめに

何気ない言葉に、その人の本音が表れる
もへちゃんが青年教師だったころ、先輩先生から

何気ない言葉に、その人の本音が表れるんですよ
と言われたことがありました。
なんでそんな話になったのかは忘れてしまいましたが…
たぶん、もへちゃんが失言をして、咎められた時

つい出てしまったんです。
って言い訳をしたんだと思います。
数十年経った今でも、先輩先生の言葉は、しっかり憶えています。
2019年2月12日
さて、今回紹介するのは、2月12日に書きたい通信…いわゆる「節目の日」の通信です。
2019年の2月12日、

水泳選手の池江璃花子さんが、白血病と診断されました
というニュースが流れました。

あんなに強くて、しかも笑顔が印象的で、東京オリンピックで金メダルとるだろうって思ってた人が!
もへちゃんだけでなく、世の中の多くの人がびっくりしました。
ショックだったので、さっそく学年通信に書きました。
しかもこの学年通信、「失言」についても、ちょっぴり触れています。
連日、ニュースでJOC組織委員会の会長だった森喜朗さんの失言について報道されている今でもぴったりの通信です。
では「◯◯◯中学校3学年だよりミニ No.157」(2019年2月13日発行)を紹介します。
昨日のニュースを見て
1981年4月、私は大学に進学しました。
テレビで「ルビーの指輪(寺尾聰さん)」という曲が流れていて、

ばり良か歌やねぇ
(すごくいい歌だね)
と友だちに話したら

お前、何言いよるん?
もう10週間以上、ベストテンで1位ぜ
(君、何言ってんの?もう10週間以上ベストテンで1位だよ)
と言われました。
3月まで1日17時間、受験勉強していた私は、テレビはもちろんラジオも全く見聞きしてなかったので、その曲が大ヒットしていたことを全く知らなかったのです。
もしかしたら今、当時の私と同じように、全くテレビもラジオも聞かず、受験勉強に専念している人もいるかもしれません。
そこで昨日のニュースから

競泳女子の池江璃花子選手(18)が、体調不良によりオーストラリアから帰国し検査を受けたところ、「白血病」の診断が下されたことを自身のツイッターで公表した。
「応援してくださる皆様、関係者の皆様へご報告があります。
日頃から応援、ご支援を頂きありがとうございます。
この度、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果、『白血病』という診断が出ました。
私自身、未だに信じられず、混乱している状況です。
ですが、しっかり治療をすれば完治する病気でもあります。
今後の予定としては、日本選手権の出場を断念せざるを得ません。
今は少し休養を取り、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います。
これからも温かく見守っていただけると嬉しいです」
池江璃花子さんのTwitterより引用
私は、このニュースを知って、とてもびっくりしました。
池江さんは、18歳ながら50m自由形、100m自由形、200m自由形、50mバタフライ、100mバタフライの日本記録保持者です。
2020年の東京オリンピックでは大活躍してくれると思っていました。
だから

あんなに才能ある人がなぜ?
と思ったわけです。
ニュースでは、私同様、驚いている人たちへのインタビューが流れていました。
ある女性は

病気に負けず、がんばってほしい
と言われました。
ある男性は

がんばって治療して、2020年に間に合わせてほしい
と言われました。
ある番組では、2020年のオリンピック出場のため、どの大会までに復活すればいいのかを解説していました。
違和感
でも私は、これら2人のインタビューや解説に違和感を持ちました。
2011年3月に起こった東日本大震災で、被災者の人が

私たちはこれでも精一杯がんばっているのに、これ以上「がんばれ」と言うのか
と言われていたのが心に残っているからです。
早川史哉さんのメッセージ
自分自身も白血病と闘い、復帰を目指しているサッカーJ2新潟のDF(ディフェンダー)早川史哉さんは次のようなコメントを出しました。

正直に自分としてはショックを受けていますし、他人事ではなく、自分のことのように感じています。
池江選手の気持ちを考えると、言い表す言葉が見当たりません。
これからどういう治療、どういう経過をたどっていくのかは分からないですが、競泳選手としての池江さんというより、一人の人間として病気に立ち向かってほしいです。
選手として活躍されていて、周りの多くの方はどうしても、
綺麗なドラマのように復帰して再び活躍する姿を見たいと期待していると思いますが、まずは一人の人間として元気になってくれることを僕は願っています。
決して明るく前向きなことばかりでないと思います。
池江選手には、周りの信頼できる人たちといろいろな想いを共有して、決して一人で背負いこまず、
じっくりと強い気持ちをもって病と戦ってほしいです。
アルビレックス新潟オフィシャルサイトより引用
渡辺謙さんのメッセージ
また、やはり白血病と闘っている俳優の渡辺謙さんは

池江璃花子さんのニュースを目にしました。
僕も同じ病気を経験しました。
「なぜ今自分が」と絶望感に苛まれているのではないかと思います。
どんな状況かは分かりませんが、今の医学を信じ、自分の生命力を信じ、前を向いて焦らずにしっかり治療に専念して下さい。
祈っています。
渡辺謙さんのTwitterより引用
とコメントを出しました。
私が疑問に感じた
- 「『がんばれ』と言った人、復帰を望んだ番組」
と、
- 早川さん・渡辺さん2人
との大きな違いは、

相手の立場に立てているかどうかってこと。

「ひとごと」ではなく「我がこと」として発言しているかどうかってこと。
もちろん、後者の2人は白血病で闘った経験があるからこそ、池江さんの立場に立てたのだと思います。
そう考えると、「人はつらい思いを経験することで、他の人に寄り添うことができるようになる」のかもしれません。
つらい思いをしなければ、相手の立場には立てないか?
では、つらい思いをしなければ、相手の立場には立てないのでしょうか?
私はそうは思いません。
人間には、想像力があります。
相手の立場を想像することができます。

人権学習のキーワード「知る・感じる・行動する」
◯中の人権学習で大事にしているキーワード
- 知る
- 感じる
- 行動する
このうちの「知る」「感じる」がそれ(想像力)にあたります。
私は白血病経験者ではありませんが、早川さん同様、池江さんを選手としてではなく、1人の人間として元気になってくれることを願います。
おわりに

池江さんのオフィシャルサイトには、昨年(2019年)12月17日に退院された際のメッセージが掲載されています。
応援してくださる皆様へ
2月から入院生活をし、約10ヶ月の月日が経ちこの度退院することができました。
辛くて長い日々でしたが、皆様からの励ましのメッセージを見て、早く戻りたいと強く思うことができました。
応援してくださった方々や関係者の方々、そして家族には感謝の気持ちでいっぱいです。
(後略)
池江璃花子さんのオフィシャルサイトより引用
そして、先日(2021年2月7日)行われたジャパンオープン2020の50m自由形では、
- 予選を全体1位で決勝に進出
- 決勝 24秒91…2位(学生新記録)
でした(^^)
知る・感じる・行動する
さて、もへちゃんのブログによく出てくるキーワード
「知る、感じる、行動する」
が今回の通信にも出てきました。
文面にもあるとおり、人権教育で大切にしている言葉です。
「知る」ことは、すぐにできます。
でも「感じる」ことは、意識しなければできません。
「感じる」ことができない五輪担当大臣
2019年、池江さんが入院したことを「知った」当時のオリンピック・パラリンピック担当大臣の桜田義孝さんは

治療に専念して元気な姿に戻ってほしい。
金メダル候補。
本当にがっかりしている。
なんて発言しました。
民衆のリーダーたる人物が、これではねぇ…(T_T)
「感じよう」としないオリンピック組織委員会会長や周りの人たち
そして2021年、オリンピック組織委員会会長の森喜朗さんは2月3日のJOC臨時評議会で

これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは、文科省がうるさくいうんですね。
だけど、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。
これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。
女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。
(後略)
と女性蔑視の発言をしました。
(蔑視…見さげること、さげすむこと、ばかにすること)
やっと今日(2021年2月12日)、辞任会見をされました。
2月4日の謝罪会見前にも、辞任も考えていたとのことですが、事務総長の武藤敏郎さんや、副会長の遠藤利明さんから説得され、辞任するのをやめたそうです。
また元総理の安倍晋三さんからも電話があったとか。
森さんはもちろんですが、2月3日の臨時評議会の場で笑った人や、辞任する気になっていた森さんを慰留した人、電話した人は、女性の立場を「感じよう」としなかったのだと、もへちゃんは思っています。
醜い人間にならないために
もへちゃんは、自分自身が醜い人間にならないために、差別に学び、差別を無くす行動をしたいと思います。
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