2021/05/25
はじめに

5月23日は、58年前(2021年現在)、狭山事件の容疑者として石川一雄さんが別件逮捕された日です。
被差別部落に対する偏見で見込み捜査が行われた結果です。
部落差別がなければ、石川さんは逮捕されなかったはずです。
部落差別がなければ、石川さんは学校教育の中で、「弁護士とは自分の無実を晴らしてくれる人だ」という認識を持てたはずです。
部落差別がなければ…
だからこそ、「5.23」は、学校教育、社会教育における人権「同和」教育の節目の日なのです。
そこで今回は、いじめについて考える人権学習「何から始めたらいいのだろう」について書いた通信「◯中 1学年だより No.22」(2012年7月2日発行)を紹介します。
人権学習「何から始めたらいいのだろう」
福岡県では毎年7月を「同和問題啓発強調月間」としています。
これは、同和問題をはじめとする一切の差別の解決を自分自身の課題としてとらえ、県民1人ひとりの人権意識の高揚を図るために取り組んでいるものです。
◯◯◯市をはじめ県内の市町村でさまざまな行事を行っています。
◯◯◯中学校では、1988年、当時の生徒会が「人権・平和」をテーマに掲げました。
深い人権感覚や強い反戦平和の思いを持って成長していこうという思いからでした。
先生たちも1988年以前から、生徒のみんなに深い人権感覚を養ってほしいと望み、様々な取り組みを行ってきました。
その一つが、◯◯◯中学校が大切にしている「人権学習」です。
毎年1年生は、まず身近な差別である「いじめ」について学びます。
今年度の人権学習は、エリオット先生の「青い目、茶色い目」の授業から始まりました。
そして、6/19火の
「ある教室で」
Aさんから、ある友だちが悪口を言っていたと聞いたBさんが、あなたに『その人無視よ』と言って来た。
その時どうする?
6/22木の
「何から始めたらいいのだろう」
Aくんを相手にプロレスごっこや筆箱をとったりして笑っている男子3人。
そしてそれを見て笑っている周りの人。
気にしているけど、行動しない私。
どこかおかしい。
このクラスも私も、このままじゃだめになる。
私は、何から始めたらいいのだろう。
いわゆる「きれい事」的な意見を先生たちは求めませんでした。

なぜか?!
それはどのクラスでも起こりうることだからです。
そして言ったからには行動してもらうつもりだったからです。
そんな先生たちのプレッシャーにも負けず、君たちは力強く様々な意見を出しました。
さすが◯中生!
おわりに

福岡県 同和教育副読本「かがやき」より「何から始めたらいいのだろう」
この「何から始めたらいいのだろう」は、福岡県 同和教育副読本「かがやき」(中学生用)に掲載されています。
冒頭の部分を紹介しましょう。
今日もまた、新聞に「いじめ」の記事が出ていた。ドキッとした。
「バイキンごっこ」。
私がそれに気づいたのは、一週間ほど前の掃除の時間だった。
私が音楽室の掃除から帰ってきたら、教室の後ろに、N君の机がポツンと一つ残っていた。
その周りで数人の男子が、「フケツキンがうつる。」とか「チクリキン。」だとか言いながら笑っていた。
その時N君が戻ってきたから教室の雰囲気が変にシラーッとなった。
N君は「えーっ、また僕の机が孤独になってらぁ。」って言って、笑いながら自分の席に運んでいった。
そういえば、少し前、N君を相手にして「プロレスごっこ」をしていた四人の男子が先生に呼ばれて、かなりきつくしかられて、N君に謝ったらしい。
それから「プロレスごっこ」はなくなった。
N君が「プロレスごっこ」をさせられていた時、N君が苦しそうな顔をして、それでも笑いながら「ギブアップ、ギブアップ。」って言ってたから、N君のことを変なやつだとは思ったけど、やっぱり嫌だったんだと思う。
でも、今度は「バイキンごっこ」なのだ。
それから一週間。
同じような場面に何度か出合った。
でも、帰りの会でそのことを言う人はいない。
なんとかしなきゃと思っても、私は何もしないままだ。
友だちは私に言う。
「かわいそうだなって思うけどさ、ここで私たちが『やめなさいよ。』なんて言ったら、いい子ぶってると思われるよ。」
(後略)
「何から始めたらいいのだろう」福岡県同和教育副読本「かがやき」(中学生用)より引用
授業の実際
授業では




- すぐにできること
- 時間をかけてやること
- 1人でできること
- みんなでやること
に分けてとりくみを考え発表しました。
そのとりくみを前にして担任が語るのですが、あなただったら何と話しますか?
もへちゃんだったら

問題が起きないクラスがいいクラスじゃない。
問題は必ず起きる。
それをどう乗り越えるかでクラスのいい悪いが決まるんだ。
世界一幸せなクラスを作ろう!
です。
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