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林竹二さんや寅さんと「詩 便所掃除」…労働について

2020/06/26

はじめに

もへちゃん
もへちゃん

 2020年6月22日のブログで映画「寅次郎 かもめ歌」をとりあげました。

 そして、伊藤蘭さん演じるところのマドンナのすみれが通う定時制高校の国語の授業で読まれた「詩 便所掃除」のことをほんのちょっと紹介しました。

伊藤 蘭さん

 あっ、ここでもへちゃん世代の男性にとって、往年のアイドル、キャンディーズの蘭ちゃんこと伊藤蘭さんのことにふれておかねばなりますまい!

 キャンディーズは、ピンクレディと人気を二分した超アイドルです。

 蘭ちゃんはそのセンター。

 今は、水谷豊さんとご結婚されて、芸能界きってのおしどり夫婦です。

 私が人生で初めて買ったレコード(当時CDなんてありません。当然ネット配信もなんて予想もしてませんでした)は、キャンディーズの「わな」でした。(この時だけセンターはみきちゃん)

 でも一番好きな歌は「哀愁のシンフォニー」。

 車のオーディオで

こっちを向いて~♪ 

涙を拭いて~♪ 

あなたのこと愛せるかしら~♫ 

なんとなくこわい♫

キャンディーズ「哀愁のシンフォニー」(作詞:なかにし礼 作曲:三木たかし

というフレーズが流れたりしたら今でもドキドキします(笑)

詩 便所掃除


 いかん、いかん。

 つい夢中になってしまいました。

 今日はキャンディーズではなく、「詩 便所掃除」こそ伝えたかったのです。

 この詩は「労働」について語る際の、私のとっておきの教材でもあります(^^) 

 では、「詩 便所掃除」について書いた「◯◯◯中学校3学年だよりミニ No.76」(2018年9月12日発行)を紹介します。

便所掃除

 昨日、いつものように担当の場所(男子トイレ)で、3年2組の人たちと清掃をしていました。

 すると○○さんが

先生、なんか変です。

水が流れません

と小便器を清掃しながら教えてくれました。

 確かに水がなかなか流れていません。

 そこでラバーカップで、コポコポしてみました。

ラバーカップ 千夜さんによる写真ACからの写真

 濁った水が出て来ました。

 すごい臭いも…(>_<)

 あまりの臭いに、トイレ担当の人たちも「おおぉ」と言いながら逃げようとします(笑)。

 逃げなかった数人に見守られながら作業を続けること約1分。

 無事、水が流れるようになりました。

詩 便所掃除

 きれいな水が流れ、強烈な臭さがなくなり、すっきりした瞬間、ふと昔読んだ「詩 便所掃除」を思い出しました。

 紹介します。

 あっ、当時の便器は水洗ではありません。

 汲み取り式便所、所謂「ボットン便所」ってやつです。

汲み取り式便所 千夜さんによる写真ACからの写真

                 

便所掃除

               濱口 國雄

扉をあけます

頭のしんまでくさくなります

まともに見ることが出来ません

神経までしびれる悲しいよごしかたです

澄んだ夜明けの空気もくさくします

掃除がいっペんにいやになります

むかつくようなババ糞(くそ)がかけてあります

 

どうして落着いてしてくれないのでしょう

けつの穴でも曲がっているのでしょう

それともよっぽどあわてたのでしょう

おこったところで美しくなりません

美しくするのが僕らの務めです

美しい世の中も こんな処から出発するのでしょう

 

くちびるを噛みしめ 戸のさんに足をかけます

静かに水を流します

ババ糞に おそるおそる箒(ほうき)をあてます

ポトン ポトン 便壷に落ちます

ガス弾が 鼻の頭で破裂したほど 苦しい空気が発散します

心臓 爪の先までくさくします

落とすたびに糞がはね上がって弱ります

 

かわいた糞はなかなかとれません

たわしに砂をつけます

手を突き入れて磨きます

汚水が顔にかかります

くちびるにもつきます

そんな事にかまっていられません

ゴリゴリ美しくするのが目的です

その手でエロ文 ぬりつけた糞も落とします

大きな性器も落します

 

朝風が壺から顔をなぜ上げます

心も糞になれて来ます

水を流します

 

心にしみた臭みを流すほど 流します

雑巾でふきます

キンカクシのうらまで丁寧にふきます

社会悪をふきとる思いでカいっぱいふきます

 

もう一度水をかけます

雑巾で仕上げをいたします

クレゾール液をまきます

白い乳液から新鮮な一瞬が流れます

静かな うれしい気持ですわっています

朝の光が便器に反射します

クレゾール液が 糞壷の中から七色の光で照らします

 

便所を美しくする娘は

美しい子供をうむ といった母を思い出します

僕は男です

美しい妻に会えるかも知れません

おわりに

もへちゃん
もへちゃん

 「寅次郎かもめ歌」では、松村達雄さん演じるところの林先生が、この詩を朗読されます。

 林先生は、最後の一節

 便所を美しくする娘は美しい子どもをうむといった母を思い出します。

 僕は男です。

 美しい妻に会えるかもしれません

の手前で朗読を辞めて、生徒たちに一瞬考えさせます。

 そう!この間が大切なんです😊

 さすが山田洋次監督!

「詩 便所掃除」の別の1面

 この詩を書いた濱口 國雄さんは、国鉄(現在のJR)に勤めてらっしゃいました。

 当時の国鉄の労働組合(国労)は、団結していて、組合員も多く、労働条件だけでなく、反戦平和活動や反差別活動等も盛んでした。

 権力側は「組合つぶし」として、便所掃除や草むしりといった鉄道の仕事ではない部署に異動させたり、1日何もせず椅子に座っているだけ…等の理不尽な扱いをしました。

 そのことを知ると「詩 便所掃除」には、社会に存在する理不尽なものに対して、凜として闘う姿を感じずにはおれません。

 もう一度、最初から読んでみませんか?

(「もへちゃん先生の学級通信の資料置き場」には「寅次郎かもめ歌」での林先生の詩の朗読動画等を置いてます。

 参考にされてくださいm(_ _)m

https://moheji.hatenadiary.jp/entry/roudou/benjyosouji

 

 

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