2021/11/11
はじめに
実際に配布した際は、裏面に「ゲルニカ」を印刷し、その絵を「読む(作者が伝えたい思いを考える)」ことを求めました。
しかし、1991年度にその続きを書いた通信は発行せずじまいでした。
それから27年後(2018年)にもへちゃんが勤務した学校の、子どもたちが登下校の際に下靴から上靴に履き替える昇降口の壁一面に、ゲルニカのタイル画がありました。
子どもたちにとっては、入学した日から毎日、目にしてきた絵ですが、その絵を「読んだ」子はいませんでした。
今、このブログをご覧のみなさんは、ピカソが描いたゲルニカを「読んだ」こと、ありますか?
なければ、もへちゃん流の解釈を書いた「◯◯◯中学校3学年だよりミニ No.149」(2019年1月25日発行)をどうぞお読み下さい。
ゲルニカ
昇降口の壁に掲げられたタイル画は、スペインの画家パブロ・ピカソさんが1937年に描いた絵画「ゲルニカ」が元になっています。
上部には「平成7年度 卒業生共同作品」と書かれているので、今から22年前のG中の先輩たちの作品です。
当時15歳とすると、現在37歳…もしかしたら保護者の方の中にこの作品制作に関わった方もいるかもしれません。
近づいてみると、小さなタイルを一つひとつ貼り付けているので、できあがるまで気の遠くなるような作業を頑張り抜いたんだろうなぁと感動してしまいます。
ゲルニカとは
さて、原画「ゲルニカ」は、たて349cm、横777cm。
G中のタイル画は、180cm、横362cm。
昇降口にある作品で十分大きいと思ってましたが、タイル画と原画の相似比は1:2。
ならば面積比だと1:4ですね。
つい数学に話題をもっていってしまいました 笑
ゲルニカ爆撃
「ゲルニカ」とはスペインの地名です。
1937年4月26日に、ゲルニカが、ナチスドイツ軍によって都市無差別爆撃を受けました。
1903年に飛行機は発明されたのですが、人類は平和的に飛行機を使うだけでなく、戦争で積極的に使うことを選びました。
空襲・空爆です。
※空爆…航空機による爆撃、空襲…航空機で空中から爆弾を落としたり機関銃を撃ったりして加える襲撃
それでも、ゲルニカ爆撃以前の空爆の対象は「敵の基地」のみでした。
当時、航空機が民間人をまきこむ非人道的な兵器となる事を避けようと、人類は毒ガスとともに戦争への「航空機の利用」を禁止する国際条約なども作りました。
※非人道的…人間が行う行為とは思えないひどいありさま
しかし、戦争になり、そんな条約なんてあっさり破られました。
この歴史から、私たちは「兵器の利用制限」という論理の嘘を見抜けるようにならなければなりません。
ゲルニカ爆撃は、人類史上初めて、敵の軍人ではなく一般市民を目標にした空爆でした。
目的は、市街地を無差別に爆撃して一般市民に恐怖心を与えること。
その悪魔のような目的に衝撃と怒りを持ったパブロ・ピカソさんは「市民に対する無差別攻撃」への抗議として「ゲルニカ」を描いたのです。
「マラガの虐殺」と「子の屍を抱く女」
左の写真はゲルニカ爆撃の2か月前の1937年2月8日、フランコ軍がピカソの出身地であるマラガを攻め落とし、避難しようとしている3000~5000人の住民を虐殺した「マラガの虐殺」の際の写真です。
右が「ゲルニカ」の左端に描かれている「子の屍を抱く女」です。
似てますよね。
マラガの虐殺事件2か月後に起こったゲルニカ爆撃を描いたピカソですが、絵の制作中に故郷の悲劇を思ったのではないかと言われています。
落ちる女
この図は「ゲルニカ」の右端に描かれた「落ちる女」です。
建物から落ちる女はピカソ自身、またイエス・キリストの象徴であると言われています。
兵士
この図は、中央下部に描かれた「兵士」です。
いや、正確には「横たわる兵士、彼の切断された手に握られた折れた剣、そして花」です。
ゲルニカへの爆撃は、都市無差別爆撃でした。
男性は兵士としての任務に就いていたから、この爆撃による犠牲者の多くは町に残っていた老人、女性、子どものような非戦闘員でした。
ですから、この絵に描かれている人間も、そうした非戦闘員が多いのだそうです。
人類史上初めて、市民をねらった空爆を計画し実行したナチスドイツへの怒りが「ゲルニカ」を生んだのです。
ナチス・ドイツだけでなく、実は日本軍も
けれど私たちは、
ゲルニカの次に市民をねらった空爆をしたのは、日本軍だった。
ということも知らねばなりません。
1938年から始まった「重慶爆撃」です。
死傷者は約2万6千人と言われています。
戦争では「被害の側」と「加害の側」の2通りの面があることも私たちは知らねばなりません。
そう、日本にも!
ゲルニカ・重慶での「市民への無差別攻撃により、一般市民に恐怖心を与える」という目的は見事に達成されました。ナチスドイツや日本軍は当然大喜びしました。
しかし、その効果を知ったアメリカ・イギリスは敵国に対して、同様の無差別攻撃を始めることになり、やがて東京大空襲、福岡大空襲、ヒロシマ・ナガサキの原爆…と続いていくことになったのです。
- 「被害」としてのナガサキ・ヒロシマ
- 「加害」としての重慶爆撃
- …
そんなメッセージ性の強い絵が掲げられてる昇降口で、来週月曜から3日間、「人権まつり◯◯◯◯2019・朗読劇実行委員会」が反戦平和の行動を起こします。
えっ、何をするのかって?
それは28(月)をお楽しみにぃ(^o^)
おわりに
「兵器の利用制限」という論理の嘘
「兵器の利用制限」で検索すると、4番目にWikipediaの「規制が議論されている兵器」があったのでチェックしました。
それによると
国際条約により使用規制が行われている兵器
- BC兵器
- B (biological) – 生物兵器
- C (chemical) – 化学兵器
- 通常兵器
- 400グラム未満の爆発性弾丸
- ダムダム弾
- 焼夷兵器(焼夷弾・ナパーム弾・火炎放射器・火炎瓶ほか)
- 目潰し用レーザー兵器 (BLW: Blinding Laser Weapon)
- 対人地雷
- クラスター爆弾
- 気象兵器
開発や輸出入に規制のある兵器
- N (nuclear) – 核兵器/放射能兵器
規制について議論のある兵器
- 対物ライフル
- 燃料気化爆弾
- 劣化ウラン弾
- 衛星攻撃兵器
- 自律型致死兵器
が挙げられていました。
「歴史は繰り返す」と言われます。
ならば、いざ戦争ってことになると、これらの兵器は使われるわけです。
だからこそ、「戦争を起こさない外交」こそが政治家には求められるのですが…
今の政治は
戦争の放棄を謳った日本国憲法を改正することが党是だ。
※党是…党の基本方針
と言う政党が第1党だったり、
「核武装を検討すべき」
「ナチスの手口に学べば…」
と発言する政治家が今でも大臣をしてたり、
ついには
「敵基地攻撃能力」の保有!
を公約に掲げる政党が出てきてしまいました。
劣化した政治家、劣化した政党、劣化した政治
こんなふうに政治が劣化しているから、国民は政治に期待できなくなります。
すると、投票率が下がります。
すると、民意ではなく、金と権力を駆使するような政党だけは組織票で、選挙に勝ってしまいます(^^;)
すると、ますます政治が劣化します。
悪循環です。
もへちゃんが子どもの頃の自民党には、まだ「戦争はしちゃいけない」って政治家がいたのになぁ。
昔の公明党は「平和の党」と自称して、「将来、憲法が変えられるようなことがあってはならない」と主張していたのになぁ。
次回予告
メッセージ性の強い絵が掲げられてる昇降口で、朗読劇実行委員会の子たちが、どんな反戦平和の行動を起こしたのか。
次回のお楽しみといたしますm(_ _)m
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