2021/11/26
はじめに

先入観や偏見は、差別の温床です。

私は差別なんかしない。
と自信を持って話される方、ぜひ今回のクイズで正解を出してみて下さい。
今回紹介する通信は、「◯◯◯中学校3学年だよりミニ No.120」(2018年11月28日発行)です。
クイズ
以前、参加した人権教育の研修会で出されたクイズを紹介します。
お父さんと息子が交通事故で病院に運ばれました。
お父さんの方は軽傷だったので、近くの病院に運ばれましたが、息子は頭に大怪我をしていたので、世界的な脳外科の権威がいる病院に運ばれました。

運ばれてきた少年を見た脳外科の先生は「なんてこと!この子は私の息子です」と言いました。
何故、先生はこんな言葉を発したのでしょう?
読解力
このクイズを読んで、「ええっ、なんで?」と思えた人はまずは合格です。
ただなんとなく読んで、「意味がわからん」と思った人はヤバいです。
2020年以降、大学受験や就職試験が激変し、今まで主流だった知識・理解だけでなく、読解力・表現力も重視される時代がやってくるのです。
読解力とは、文章を読んで、意味を理解する力です。
まだ読解力が低い小学生とかならこのクイズは難しいかもしれませんが、中3なら「ええっ、何で???」と反応してもらいたいものです。
「ええっ、何で?」と思えた人
さて読解力は備わっていて「ええっ、何で?」と思えた人には、次の段階の話をしましょう。
私はこの問題を聞いた時、

「育ての親」と「生みの親」かな?
とか思いましたが、違いました。
正解は
「世界的な脳外科の権威の先生」は女性だったから
です。
先生は、「急患は誰だ」と思って行ってみたら、かつぎこまれていたのが自分の息子だったのでびっくりしたのです。
軽傷で近くの病院に運ばれたのは、彼女の夫です。
なので、何も矛盾はありません。
先入観
この問題におけるポイントは、「医者」、特に「世界的な脳外科の権威」と言われると、かなりの人が「この人は男だ」と思いこんでしまうという点にあります。
私もそうでしたが、あなたも「医者=男性」と思いませんでしたか?
こういう思い込みのことを「先入観」と言います。

「先入観」が、クイズで間違う程度なら何の問題もないのです。
しかし往々にして先入観が偏見となり、そして差別につながっていくのです。
※往々にして…よくあること
偏見
例えば、テレビなどである国の不祥事ばかり見聞きしていると、その国や人々に対して悪い印象を持ち、偏見に変わります。
- その国に行くと危ない
- その国の人に関わってはいけない
など考えはじめてしまいます。
一部の事柄で全体を「決め付け」ているわけです。
このような「偏見」にはマイナスの作用しかありません。
部落差別、しょうがい者差別、外国人差別…全て「偏見」から始まります。
偏見に陥らないために
偏見に陥らないために必要なことは、事実を知ることです。
そのために◯◯◯中学校では人権学習を行っています。
しかも「あいうえおの人権学習」を意識しながら(^^)
あ…明るい
い…いい具合(ほどよい加減)
う…嬉しい
え…笑顔
お…おもしろい

でもなぁ、あなたたちもあと3ヶ月ちょっとで卒業ですよねぇ。
ハンセン病のことも伝えたいなぁ。
差別の解消を目指して最近できた法律
- 「障害者差別解消法」
- 「ヘイトスピーチ解消法」
- 「部落差別解消推進法」
のことも、色覚のことも、DV(ドメスティックバイオレンス)のことも、結婚差別のことも…。
あぁ時間がたりるだろうか
「しょうがい」と「障害」
さて、今回の学年だよりミニには「しょうがい」という表し方と「障害」という表し方が出てきました。
私自身は「しょうがい」という表し方にこだわっています。
以前関わった子で、車椅子を使っていた子から、

小学校の時『害』という漢字を習った際、『公害』、『害虫』の『害』ということを知って、泣きながらノートに漢字の練習をした。
と聞いたことがあったからです。
その子は「障」という字を習った際も
「差し障り」というマイナスのイメージがあることを知り、「やはり泣いてしまった」
と話してくれました。
だから私は「しょうがい」と表しています。
ただ「障害者差別解消法」は法律名でしたので、今回の学年だよりミニにはそのまま書きました。
実は、政府も「障害」の書き方について、どうすべきか2010年頃から検討を始めています。
時代は、人権豊かな方向に動いているのです!
おわりに

クイズで正解できましたか?
今回の通信は「数学ネタ」と言うよりは、「あいうえおの人権教育」ネタだったかな(^^)
豊かな人権感覚を養うためにも、論理的思考は欠かせないってことです。
論理的思考だけでなく、心の涵養も大事
さて、

通信というのは、いつもいつも真面目だと飽きられてしまうかなぁ…
ってもへちゃんは思ってました。
なので、アニメや漫画ネタも時折入れたり、芸能ネタやクイズも取り入れました。
今回紹介した通信も、単なるクイズのふりをして、実は人権学習ネタでした。
しかも「あいうえおの人権教育」のことだけでなく、「しょうがい」者問題についても、さりげなく書きました。
このことがどれだけ子どもの心に届いているかは、正直わかりません。
でも、「涵養(かんよう…自然にしみこむように、養成すること)」も大事なのです。
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