2021/04/14
はじめに
「参加型の人権教育」という言葉があります。
それ以前の人権学習の多くは「かきくけこの人権学習」
- か…硬い
- き…厳しい
- く…苦しい
- け…権威的
- こ…こわい
でした。
もへちゃんも、ある小学校の人権学習の公開授業を見に行って
これはとても大事な学習ですから…
と、怖い顔をしながら人権に関する授業をしている先生を見て、息が詰まったことがありました。
子どもたちは一言も喋ることなく、先生の熱い言葉を聞いてました?が、
子どもたちの多くは、右の耳から入って、左の耳から出て行ってる感じやなぁ。
先生の思いを受け止めてるのは、このクラスのごく一部だけみたい(^^;)
と感じました。
これは、日本のいたるところでも見られたのではないでしょうか。
「人権教育のための国連の10年」(1995~2004)で、大阪の森 実さん(大阪教育大学 教授)らの研究者から、参加型の人権教育が提案されました。
それを端的に表すと「あいうえおの人権教育」
- あ…明るい
- い…(ちょうど)いい加減
- う…嬉しい
- え…笑顔
- お…おもしろい
です。
今回紹介する通信は、新しい班をスタートするにあたり、とりくんだ「仲間づくりゲーム」の後に発行した「学級記録 No.6」(2005年4月25日発行)を紹介します。
新しい班 スタート
記録7
◯中の登校中に、Iくんのバッグを置いてきてしまい、Iくんに申し訳ないと思っています。
ひとりぼっちになった時の気持ちが、先生がやったゲームでわかりました。
生活ノート(連絡帳みたいなノート)より引用
先週の火曜の1時間目、「仲間探しゲーム」をやった。
その前の週、さびしい思いをした人がいたからだ。
その人が感じたであろうさびしさの10分の1、いや100分の1でも感じられたら…
と思い、あのゲームをやった。
仲間探しゲーム
仲間探しゲーム
自分のおでこに貼ったシールの色はわからなくとも、お互いが助け合うことで
無言で!
というルールがあったにもかかわらず、同じ色の仲間を作ることができた。
自分が、できない時、わからない時に支えてくれる一言の、なんと暖かいことか!
それに比べて、自分の色はわからず、まわりの人からは
違う、違う
あっちに行って
という仕草で、はじき出された人のさびしさは、どうだったろうか。
悲しみを心に押し込め、小さく
はぁ…
とため息をつくか、
別になんともないです
と強がるしかないじゃないか。
それは、30年前の僕自身の姿にダブる。
思い出話をもう1つ
中3の担任をしてた時のことだ。
その日は実力テスト。
受験の時のムードに慣れさせようと、学年全員で体育館に机と椅子を運び、そこでテストを受けていた。
テスト中とはうって変わって、休み時間なんかはそりゃもう大騒ぎ。
クラスを超えて、いろんな所に集まって、おしゃべりをしていた。
そんな中…
普段から気になっていた子が、学年集団が、あっちでワーワー、こっちでワーワーしてる中、1人でポツンと席に着いていた。
まわりのみんなは、自分のおしゃべりに夢中になっていて、誰1人、その子のことを、その子の心を、その子のさびしさに気づいてなかった。
- 誰もいないところに1人でいるさびしさ
と
- たくさんの人がまわりにいるのに孤独を感じるさびしさ
と、どちらがつらいんだろう。
僕にはわからない…
けれど、後者の「さびしさ」は、まわりが変わることで無くすことができる「さびしさ」だ。
今日から、新しい班がスタートする。
暖かい班を目指そうや。
おわりに
仲間探しゲーム
「仲間探さがしゲーム」は、額に各色のシールを貼られた子どもたちが、無言で仲間を見つけて集まるというゲームです。
人権啓発の場での、アイスブレーキングに使われることもあります。
(アイスブレイクとは、氷を解かすことの意味。初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法。集まった人を和ませ、コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作り、そこに集まった目的の達成に積極的に関わってもらえるよう働きかける技術を指す。…Wikipediaより引用)
今回は、事務室にあった丸シールを用いました。
こんなの ↓ です。
赤、黄、青、白、緑の丸シールを、それぞれ5~8枚ほど用い、子どもたち1人ひとりの額に、本人に見えないように貼っていきました。
さらに、黒を1枚だけ…すなわち「1人だけが黒」という状態を作り出しました。
ゲーム中、赤、黄、青、白、緑の子たちは、無言ながらも、集まりあってニコニコしてました。
一方、黒いシールの子は、なぜ自分は仲間に入れてもらえないのかもわからず、不安げでした。
ゲーム終了後、黒いシールの子にインタビューしました。
どんなことを思ってましたか?
誰も誘ってくれなくって、さびしかったです。
さて、参加型の人権教育は「あいうえおの人権教育」と表現する以外に、「参加・体験・協力」というキーワードで表すこともあります。
「仲間探しゲーム」は、まさに「参加・体験・協力」です。
ちなみに、もうおわかりかもしれませんが、「仲間探しゲーム」では、仲間はずれを体験した子へのインタビューがとても重要です。
また、ふだんの人間関係で、さびしい思いをしてる子に黒いシールを貼らないよう、配慮するのは、言うまでもありません。
「班編制」の班長会
4月当初は、出席番号順に座っているので、それで作る「班」に、諸問題を解決する力はないと、もへちゃんは思っています。
たまたま、責任感の強い子がいて、うまく回る班もありますが、全ての班がそうはいきません。
もへちゃんが、班編制する際は、まず「班長立候補」を呼びかけます。
次に立候補してきた班長達で「班長会」を開き、班編制の案を考えさせます。
その際、班長達には「一番配慮すべき人は誰か」「2番目に配慮すべき人は誰か」「3番目に…」について話し合わせ、その後「誰がAさんを班に入れるか」「誰がBさんを班に入れるか」を意思表明させます。
ただし、この時「私は、Aさんを入れるから、支えるために私と仲良しのCさんを入れたい」なんて言うのは「有り」です。
班長たちが全員納得するまで、この話し合いを続けます。
放課後は、部活動等の時間を保障したいので、班長会の時間は昼休みです。
なので、班編制前は、ほぼ毎日の昼休み、班長会です。
この話し合いを経験することで、班長たちは意識を深めているのです。
定例班長会
ちなみに、班編制した後でも、班長会は週1回実施してました。
週1の班長会では
- 困ったこと
- 不安に感じてること
- 嬉しかったこと
なんかを出し合い、解決法を話し合います。
話し合った内容は、話せる範囲で、帰りの会でクラスのみんなに伝えたり、もへちゃんが学級記録(学級通信)に書いたりしました。
その後、問題点に対するとりくみがスタートするわけです。
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