2021/04/15
はじめに
ほとんどの中学校の先生は、最初の授業の時間、
- どんな勉強をするのか
- どんな進め方をするのか
- 成績の付け方
- 等々
なんて感じで、ガイダンスを行います。
もへちゃんは、『学び合い』の考え方で数学の授業を行ってましたので、『学び合い』の考え方について、魂を込めて子どもたちに話す大事な大事な時間でした。
この時間を、『学び合い』の考え方で授業する方々は、「語りの授業」といいます。
今回紹介するのは、もへちゃんの「語りの時間」に影響を与えた信州大学の三崎隆さんが、近隣の小学校で行った「出前授業」の様子を、先生方に伝えた「◯◯◯中学校 研究推進委員会だより No.16」(2012年9月12日発行)です。
信州大学 三崎 隆先生 出前授業(前半)
9月7日、◯◯◯小での『学び合い』の出前授業に行ってきました。
授業者は、信州大学の三崎隆先生。
元々は中学校の理科の先生で、西川純先生との出会いから『学び合い』授業の研究者となり、現在は大学で教鞭をとっているのだそうです。
三崎先生の「語りの授業」
今日、31人の皆さんと「みんなができる」「みんなで助け合う授業」をします。
そのために、大切なことを三つお話しします。
今日は算数でしますが、算数以外の教科でもできます。
全部で、できます。
「みんなができる」とは?
「みんなができる授業」と言うからには、みんなができないといけないんです。
31人いるってことは、何人できればいいんですか?
31人!
よくできました。
31人できればいいんだから、自分を除くとお友達は何人?
30人!
すばらしい。
お友達は30人、この数字は覚えててね。
31人の人ができなきゃダメなんですよ。
私はそれを求めますよ。
例えば
- 「30人できて、1人できなかった」
- 「29人できて、2人できなかった」
- …
それじゃダメなんです。
1人残らず、例外なく、どんなお友達でも、全ての皆さんがわかる…
それが「みんなができる授業」です。
「みんなが助け合う」とは
もうひとつ、「みんなが助け合う授業」。
自分を1人除きますから、お友達は30人いますね。
ということは、助けてもらえる人は何人いるんですか?
30人!
そう、自分が困ったときに助けてくれる人は、30人いるんです。
日本は、1億5千万人います。
東日本大震災が起きて、東北の皆さんは困っています。
私の住む長野県では、大問題です。
何ができるのか?
何万人という方が亡くなったり、被災されて困っている。
じゃあ、長野県にいる私は何ができるのか?
信州大学では、お給料の中から少しずつ集めて募金をしました。
みなさんは、何をしましたか。
困っている人がいたら何かしてあげるのは普通のことでしょ。
ただし、困っている人が何をしてほしいのかをちゃんと見て、聞いて、確かめて、自分で考えて、判断して、手をさしのべない限り「小さな親切、大きなお世話」になってしまいます。
だから、助けるってことはすごく難しいことです。
みなさんのおうちは、
◯◯◯小の児童会は、
何をしましたか?
児童会で募金しましたぁ!
それが、助けるってことです。
普通は、それはできるんです。
「東日本大震災?助けてあげなきゃ!」って。
「困っている人がいたら、手をさしのべる」って普通のこと
今日は、電車で来ましたが、ホームで目の前で転んだ方がいたんです。
荷物が散らばるし、ガンって音がするから「大丈夫ですか?」って聞きます。
当然のことですよね、人間として当たり前のことです。
困っている人がいたら手をさしのべる。
一般社会では、普通のことです。
ところが、授業では、それがなかなかできない。
でも今日はそれをやろう(^o^)
授業では、30人のお友達の、誰が困っているかがわからない。
「誰が、どこでつまづいてて、自分は困っている人にどうしてあげたら、困っていることが解決するんだろうか」…それがわからない。
ホームで転んだ人がいれば、明らかに困っているってわかる。
授業では、わからない。
今日はそれをやろう。
どうやるか、それは皆さん自身が考えるんです。
今からの算数の時間、そしてこれからの毎時間、毎時間積み重ねていって、将来の日本は皆さんが作ってくれるんです。
困っている人がいたら、手をさしのべる…
それを授業でやるだけのことです。
自分が困ったら、助けてくれる人は30人いる。
困ったときは、助けてもらうことですよ。
遠慮無く。
それは、人間として当たり前のこと。
「助けてよ、僕困っているから」…助けてもらうことは恥ずかしいことじゃないんですよ、特にお勉強は。
お勉強の時に「助けて」って言うのは、「お勉強したい」っていうことを言い換えているだけだから。
わからないときに「僕困ってるんだけど助けてくれない」というのは褒められこそすれ、怒られることはない。
困っている人を見つけたら「僕、力になれる?」と声をかけるのは、人間として当たり前のことです。
(次回につづく)
おわりに
この出前授業は、小学校での授業でしたから、45分間でした。
三崎先生の言葉を、かなり一生懸命メモしたので、今回紹介した分で、まだ半分ほどの量です。
授業後半は、「みんなができる授業」「みんなで助け合う授業」を実体験させる展開でした。
この展開に、もへちゃんはすごく影響を受け、自分なりにアレンジして、もへちゃん流の「語りの授業」を創ることができました。
次回、三崎先生の出前授業・後半をお送りします(^^)/
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