授業開始…信州大・三崎先生の『学び合い』・「語りの授業」(後編)

2021/04/16

はじめに

もへちゃん
もへちゃん

 そろそろ学校では、教科の授業がスタートする頃でしょうか?

  • 学級目標を決めたり
  • 委員会・係決めをしたり
  • 教科書配布
  • 発育測定

 4月最初は、上記の時間を多く取るため、学年時間割を組みます。

 だから、教科の授業のスタートは少し遅れます。

 と言うのも、「1つの学年に全ての教科の先生がいる」なんてこと、ほぼないからです。

 もへちゃんが先生になったばかりの頃は、「時間割」担当の先生がいました。

 人の出入りがない部屋に籠もりっきりで、普段は職員室の壁にかけられている「時間割ボード」を外してきて、教科のコマを手にしながら、ボードとにらめっこ。

 「うんうん」うなりながら、2日も3日もかけて、学校全体の時間割を作成されてました。

 その後、やっと「授業スタート」になるわけです。

 ちなみに、今では「時間割作成ソフト」というのがあるようです。

 さて、前回は、もへちゃんの「最初の授業」での「語り」に大きな影響を与えた信州大学の三崎 隆先生の出前授業について書いた「◯◯◯中学校 研究推進委員会だより No.16」(2012年9月12日発行)の前半を紹介しました。

 今回は、その後半部分を紹介します。

信州大学 三崎 隆先生 出前授業(後半)

大事なこと① 黙ってたらダメ

 わからないことが出てきたら、その時に聞くこと。

 黙ってたらダメ。

 だから、授業の時にはおしゃべりしなきゃダメだよ。

大事なこと② 座ってたらダメ

 長野駅に降りたら、出て右に行ってください。

 階段を下りてまっすぐ進むと、もう1つ階段があるので、右の階段を下ります。

 その先を左に曲がると、ぐるりん号があるので、100円払って10分ぐらい乗ると、信州大学教育学部に着きます。

 わかりますか?

 私はすごくよくわかる。

 どうしてわかんないんですか?

 学校の授業ってこんな感じですよね。

 わかってる人はわかる。

 で、先生方はわかってる。

 わかってる先生方が、わかってるように話す。

 わからない人は、わかってる人から聞いてもわからない。

 長野駅の話は、わかる人にはすごくよくわかる。

 わかってくれる人と、わかってくれない人がいる。

 なぜか?

 それは、1人ひとりのわかり方が違うからです。

 31人いると31通りのわかり方があるんです。

 だから先生が説明して31人が、一瞬にして全員がわかるなんてことは、ないっ。

 ないっ!

 だから、自分以外の30人の考え方を聞いてみて、その中から自分に一番わかりやすい考え方を選ぶんです。

 私たちが「わかる時」っていうのは「なるほど、そういうことか」と思うときです。

 だから、そんなふうに思える説明をしてくれる人が一番いい。

 30人の中のどこかに必ずいます。

 その人を探してください。

 また、同じことを喋ってもわかってくれる人は1回でわかってくれるけど、わからない人は100回喋ってもわかってもらえない。

 だから「なるほどそうか」とわかってくれる人を見つけて聞いてもらう。

 そんな人を探してください。

 だから、座ってちゃだめだ。

 必ず、動かないとダメ。

 行きたいとこに行かないとダメ。

 座ってたって、スーパーマンは来ない。

 ドラえもんも来ない。

 誰も助けてくれない。

 自分が困ったら「助けて」と自分が行かないと。

大事なこと③ チームプレイ

 自分ができても終わりにしないで

みんなができるまで、

あきらめないで、

声かけあって助け合うこと。

 学校のお勉強は、チームプレイなんです。

 みんなでやるんです。

 どんなに優れた人が1人いてもダメなんです。

 だから、早く解けた子がいたら、こんなふうに言います。

 君はよくわかってるね。

 でも、苦しんでる人が30人いるけど、君はそれをどう考えるの?

 何してあげられるの?

 東日本大震災があれだけ起きたのに、何してあげてるの?

 それを考えて。

 スタンドプレイじゃダメ。

 自分だけ、できればいいなんて、そんなの学校のお勉強じゃない。

みんなができる授業、みんなで助け合う授業を体験しよう

じゃんけんゲーム

もへちゃん
もへちゃん

 「全員がじゃんけんをして、3人に勝つことができる」という目標のじゃんけんゲームをします。

 3人に勝った人だけが座れます。

 1人の人に3回勝ってもダメです。

 ただし、このゲームはだれが早く座るかを競うものではありません。

 学校の勉強もそうなんです。

 「俺、1番!頭いいだろ」…そんなのは学校の勉強じゃないんです。

 それやりたいんだったら、お家でやってください。

 学校では

「1番!」って言った子がいたら

「それはよくわかった。でも君以外に30人いるんだけど、君は30人の人に何がしてあげられるの」

 それを考えて、自分で判断して、行動して助けてあげる。

 一番大切なことは「みんなができること」です。

 「座ることができない人」が、誰もいなくなることが目標です。

 ですから、座っている人もじゃんけんOKです。

 もっといい方法もあるんだけど…、皆さん考えて。

 目標達成した人(座っている人)が、まだ目標を達成してない人をどのように助けてあげられるかがポイントです。

 全国、津々浦々行きまして、このゲームをしていますが、だいたい1分から1分30秒で皆さん座ります。

 じゃあ立ちましょう。

 はい、スタート!

 ガヤガヤ

じゃんけんゲーム中の子どもたち

 はい、ありがとうございました。

 1分7秒でした。

 お~


 していただいたからわかると思うんですけど、

 一番早く座った人が勝ったとか負けたとかではありません。

 早く座った人が、「まだ座ってない人に何をしてあげられたか」が大事だったんです。

 これはゲームで、この後、本番です。

 次の時間、算数のお勉強で、これをしてもらいます。

 じゃんけんで勝って座った人は「僕、じゃんけんしてあげられるよ~」って言ってましたね。

 すばらしいことです。

 もう1歩進むと「僕、グー出すから、パー出して」って言えたんです。

 そしたらこのじゃんけんゲーム、30秒ぐらいで終わるんです。

 あ~、そっかぁ(^^)

 実は、学校の勉強って同じなんです。

 算数の時間に「僕はグー出してあげる」みたいな言葉…「僕、教えてあげるよ」って算数の時間に言えればいいし、黒板を自由に使ってもいいんです。

 学校の勉強ってチームプレイなんで、自分にできることがあるんなら、遠慮しなくていいんです。

 人を助けるのに、遠慮なんかする必要ないんです。

 わからなくて困っている人がいるんだから、みんなで助けてあげればいいんです。

おわりに

もへちゃん
もへちゃん

 三崎 隆さんのこの授業は、『学び合い』の考え方が、子どもにわかりやすい言葉で語られていました。

 さらに「みんなができる授業」「みんなで助け合う授業」については、言葉による説明だけでなく、体験させてました。

『学び合い』の授業は、学習規律が乱れる!?

 さて、『学び合い』の考え方で授業することに批判的な方は

 学習規律が乱れる

とおっしゃいます。

 「みんなができる」ためには、おしゃべりしなきゃならないし、立ち歩かなければならないからです。

 もへちゃんも、最初はそう思ってました。

 しかし、授業のめあてを「みんなができる」にして、それを授業者である先生が本気で求め続けると、子どもたちの立ち歩きやおしゃべりが、一気に変わりました。

 だからこそ、『学び合い』の考え方で授業するばあいは、「語りの授業」がとても大事なのです(^^)

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