はじめに

2011年2月9日、もへちゃんが住む福岡県で、飲酒運転により高校生2人の命が失われました。
痛ましい事故でした。
それから10日ほど過ぎて、もらった1通のメール。
今回、紹介する通信「3年7組学級記録 No.97」(2011年2月22日発行)は、そのメールを子どもたちに伝えたくて書いた通信です。
メール
知人から次のようなメールが転送(他の人が書いたメールを、そのまま別の人に送ること)されてきた。
先日の粕屋町の飲酒運転で高校生2人が亡くなった事故で、被害者の1人山本寛大君の同級生の子ども達が、何かしたいと「以下のメールをなるべくたくさんの方々に」と回しています。
お読みいただけると有り難いです。
みなさん、こんにちは。
私たちは、多々良中央中学校の第35期生です。
私たちは、大事な友達を、大人の勝手なわがままで亡くしました。
ほんとうに悔しいです。
悲しいです。
寛大の命を返せって言ってやりたいです。
でも今、寛大の願いは、私たちが元気に笑っていられることだと思います。
11日は、お葬式でした。
地元が一緒だった全員が参加し、涙し、悔やみ…
そんなお葬式でした。
できることなら、もう一度、寛大に会いたいそんな願いです。
電話しても、メールしても、寛大から返事はありません。
寛大は、私たちの笑顔を見ることが、何よりの支えになると思います。
今、私たちができることは、寛大のために飲酒運転撲滅を呼び掛けること。
それくらいです。
これで寛大の力になれるのかは分からないけど、このメールをできるだけたくさんの人に回していただけたら光栄です。
私たちの大好きな寛大の死を、決して無駄にはさせません。
呼び掛け、よろしくお願いしますm(_)m
多々良中央35期生高校1年生。一同。
2011年2月9日
13日前の2月9日、粕屋町で、飲酒運転の車にはねられ、高校生2人が亡くなった。
TVのニュースでも大きくとりあげられた。
そして、このメールのことも、2日程前のニュースでとりあげられていた。
とても悲しいメールだ。
大事な友達を、大人の勝手なわがままで亡くしました
できることなら、こんなメールを出さなくてすむ方が、絶対いいに決まっている。
けれど…
中学時代の同級生が…
その日の朝まで、にこやかに笑っていた友が、突然亡くなったのだ。
「大事な友達を、大人の勝手なわがままで亡くしました」
このメールを書いた人の悔しさや悲しみが伝わってくる。
そして、多くの人の心を打つ。
だから、ニュースでとりあげられたんだ。
こんなメールを打たなくていい日のために、今はメールを打つ。
同じような悲しみを繰り返させないために。
君たち世代が、次代の社会をつくる
以前、インターネットの掲示板にある「差別」の勉強をした。
未だにひどい書き込みはある。
けれども、このメールのように、インターネットや携帯のネットワークを使って、君たち世代の若者が、社会のおかしさに一石を投じつつあるのも事実だ。

人権を守る運動にも、新たな時代が来つつあるのかもしれない。
その時代に、共に生きることができなかった寛大くんの冥福を祈りながら、彼の分まで◯中64期生の君らが、人権の守り手になってくれるとうれしい。
おわりに

もへちゃんの住む福岡では、今年もニュースで、この事故のことが語られていました。
メールの中に出てくる山本寛大さんのお母さんである山本美也子さんは、「すべての命を大切に」「飲酒事故のない社会を」と、全国の学校や企業、刑務所、断酒会の例会などで講演を重ね、この10年間で1200回を超えました。


そのうちの1回は、この通信を発行した3年後、もへちゃんが勤めていた中学校で行われたものです。
次回は、その講演会のことについて書いた2014年の学年通信を紹介したいと思います。
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