2020/07/16
はじめに
前回のブログで紹介したクイズ「3色問題(中3レベル)」は2018年に出した通信です。
その1年後の2019年の夏、県教委や市教委で「思考力・判断力・表現力を養う」だとか「思考力・判断力・表現力を測るテスト問題」だとかの研修がやたらと開催されました。
2020年の教育改革がいよいよスタートするという理由からです。
けれど『学び合い』の考え方を活かした授業をしてきた私にとっては、別段慌てることもありませんでした。
普段の『学び合い』の授業が、思考力・判断力・表現力を養うスタイルだからです。
3色服装問題が教育改革後の入試問題になるとしたら
ちなみに、クイズ「3色問題(中3レベル)」が、2020年の教育改革以降の入試に出るとすれば、正解を求めるだけではなく、
「なぜその解答になるのかを説明せよ」
なんてのが付け加わるのかなと思います。
ではお待たせしました。
3色問題解答編の「◯◯◯中学校3学年だよりミニ No.29」(2018年5月28日発行)を紹介します。
3色服装問題
学年だよりミニ27号で、3色服装問題を出しました。
(3)の問題は高校入試レベルでしたので、3年生の5月で、この問題に挑戦する人はいないだろうと、私はたかをくくっていました。
すると…な、な、なんと英○さん、美○さん、歩○さん、裕○さんの4人が返信欄を持ってきてしまいました。
改めて問題を紹介しましょう。
3色服装問題
もへちゃん先生は、赤・青・黄のインナーを1枚ずつ持っています。
また、赤・青・黄のTシャツを1着ずつ持っています。
さらに、赤・青・黄の短パンを1着ずつ持っています。
- 着用する服が全部違う色になるようにしたい時、着こなしは何通りあるでしょう?
- もし、もへちゃん先生がインナー、Tシャツ、短パンとも赤・青・黄・緑・紫の5色、持っていた場合、着用する服を全部違う色にする着こなしは何通りあるでしょう?
- もし、もへちゃん先生がインナー、Tシャツ、短パンともΧ色、持っていた場合、着用する服を全部違う色にする着こなしは何通りあるでしょう?
回答してくれた4人の答えは微妙に違っていました。
紹介します。
さぁどれが正しいと思いますか?
- 6通り…これは4人とも同じでした。
- 60通り、125通り…どちらかが正解です!
- x³-2x通り、x²-3x+2通り、x(x-1)(x-2)通り…この中になんと正解があります!
解説「3色服装問題」
(1)の解説
(1)の問題が簡単なので、まず解説します。
インナーの選び方は3通り
もへちゃん先生がまずインナーを選ぶとき、その選び方は上の図のように3通りです。
木の枝にたとえると、「3本の枝が出た」と言えます。
「Tシャツの選び方」の枝を図に付け加える
1番上の枝(赤のインナーを選んだ)の場合、上着はTシャツは青か黄の2通りしか選べません。
そこで出てくる枝は2本です。
青のインナーを選んだ場合も出てくる枝は2本。
黄のインナーを選んだ場合も2本です。
図にすると下のようになります
さらに「短パンの選び方」の枝を図に付け加える
1番上の枝(インナーは赤→Tシャツは青と選んだ)の場合、短パンはもう黄しか選べません。
だから出てくる枝は1本です。
残りも同様に枝を出したのが次の図です。
結局、「何通りあるか」とは、「最後の枝が何本あるか」ということですから、(1)の答えは6通りでした。
4人とも大正解!!
(2)の解説
(2)も枝を書いて数えればOKです。
インナーは5色のどれかを選ぶから、最初の枝は5本。
赤いインナーを選んだら、着れるTシャツは残りの4色。
だから赤いインナーから出る枝は4本。
赤いインナー→青のTシャツの次は、3色の短パンの中から選べるので3本。
あぁ、全部書くのは面倒くさい
そこで、計算で楽をしましょう。
インナーが5色(枝は5本)
そこから出る枝(Tシャツ)は4本
さらにTシャツから短パンに向かって出る枝は3本。
ならば、最後の枝の本数は5×4×3=60
丁寧に絵を書いたら、最後は60本の枝が出るはずです。
(2)の答えは60通りでした。
(3)の解説
(3)はインナー、Tシャツ、短パンともX色だから、絵の書きようがありません。
そこで(2)の計算を参考にします。
まず最初の枝は X本、
次にインナーからポロシャツに向かって出る枝は Xー1本、
さらに、ポロシャツから短パンに向かって出る枝は Χ-2本。
(2)のかけ算をまねしたら
Χ ×(Χ-1)×(Χ-2)
よって(3)の答えは Χ(Χ-1)(Χ-2)通り、
または x³-3x²+2x通り
回答者には、もれなくお礼ですm(_ _)m
あぁ、かなり難易度の高い学年だよりミニになってしまいました。ごめんなさい。
こんな難しい問題にも関わらず挑戦してくれた4人にお礼を(^^)
英○さん
「英」という字は「くさかんむり」と「央」からできており、草の中心である「花ぶさ」を表しています。
花ぶさは美しくて人目をひきます。
きっと才能に恵まれていて人目をひく人なのでしょう。
美○さん
「美しい」とは「何か良いこと」という意味によくとられます。
それは「優れたこと」であり「感動」を人に与えることでもあります。
きっと人を感動させる心の美しさを持っているのでしょう。
歩○さん
「歩」という字は右足の前に左足を出した形からできています。
1歩1歩着実に夢に向かって進むことができる人に違いありません。
裕○さん
「谷」は器の上に神が気配を表すことを意味します。
「衤」は衣服。
すなわち衣服に神の気配が現れることから、豊かといった意味になります。
きっといろんな人の気持ちがわかるような、豊かな美しい心を持った人に違いありません。
みんな素敵な名前です(^o^)
おわりに
通信にも書いてますが、クイズ「3色問題(中3レベル)」の通信を出した次の日、4人の子が返信欄を渡してくれました。
しかし解答編の通信を出せたのは返信欄をくれた日ではなく、さらに次の日でした。
なぜかというと、できるだけわかりやすい解説を書こうとしたら、けっこう手間取ったからです。
わかりやすい解説を書かねばなりません
『学び合い』の考え方を活かした私の数学の授業では
答えが◯◯になることを男女それぞれ1人ずつに説明し、納得してもらえたらサインをもらおう
なんて問題に子どもたちはとりくみます。
数学の授業で子どもたちに表現力を求める私が、通信で解答編を書く場合、表現力の乏しい解答を書くわけにはいきません。
しかも、多くの子が理解できるよう、図や表、平易な言葉を駆使しなければならないのです。
それでも数学の苦手な子にとっては難しい解説になってしまいました。自らの力のなさを痛感しました(^^;)
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