2021/10/11
はじめに
1987初代もへちゃん組の演劇について、もへちゃんは、情けないほど指導らしいことをやれてませんでした。
自分自身の中学・高校時代、合唱コンクールで歌は歌ってましたが…音符を読みながら歌ってたわけではありませんでした。
演劇については、それまでの人生で全くとりくんだことがありませんでした。
だから、合唱指導・演劇指導でやれてたのは精神論のみ(^^;)
けれど、2010年に上越教育大学 教職大学院の西川 純先生提唱の『学び合い』に出会い、初めて精神論を脱却し、自信を持って合唱指導・演劇指導ができるようになりました。
そこで今回は、過去の学級通信を紹介するのではなく、以前Facebookに書き込んだ合唱コンクール金賞の報告の記事(2016年10月26日投稿)を紹介します。
文化祭の合唱コンクール、金賞でした!
若い先生たちから、
どんな練習してたんですか?
と尋ねられました。
以前は
口、開けろー
声、出せー
しか言ってませんでした(笑)
Facebookで友だちになってくれてる元もへちゃん組のみなさん、ごめんなさい🙇
『学び合い』を用いた合唱指導
『学び合い』にとりくむようになってから、
口、開けろー
声出せー
にプラスして(今でもちゃんと言ってますよー 笑)、毎日の練習の前に
本日のめあて
第3フレーズ25秒の音程を覚えて、みんなで第3フレーズのハーモニーを楽しめるようになる
と板書するようになりました。
また、第3フレーズを頭出しできるようにした各パート用の範唱CD(上手な歌の入ったCD)とパート分のCDデッキを前もって準備しておきます。
あとは
- 声出し 15:00〜15:05
- 説明 15:05〜15:08
- パート練習 15:08〜15:23
- 合唱 15:23〜15:30
と板書し
合唱の後に
上手い!
明日は、第4フレーズに進もう。
と言ったり、
下手!
明日も第3フレーズね。
と言うだけです。
子どもたちは有能だから、これでぐんぐん素敵な歌声になります。
さらに、「素敵に歌える」って自信が、週1回の音楽の授業での「表現の工夫」の吸収の度合いを増加させます。
明後日、町の音楽祭に出演します!
おわりに
Facebookの記事は短めなので補足します。
『学び合い』の音楽の授業を見て閃いた合唱指導
以前『学び合い』を校内研究のテーマにして、全教科で「仲間を誰1人見捨てない授業づくり」にとりくみました。
研究協力者の上越教育大の西川先生が来校した際、授業を参観してもらい、授業者にアドバイスしてもらいました。
その中に音楽の先生がいらっしゃいました。
その先生の専門は「声楽」。
その日は、合唱コンクールの自由曲の練習の授業でした。
授業では専門的な解説をしながら、熱く語っていらっしゃいましたが、子どもの多くは頭の上に「?マーク」が2つも3つもあるかのようなまま、授業は進んでいきました。
授業後、
今日、授業していた30数名の子どもたちに、将来、あなたのような声楽家になってほしいのですか?
と西川先生は音楽の先生に尋ねられました。
音楽の先生は首を振りました。
そうですよね。
合唱曲を歌いこなしていくことで、音楽の心地よさや、声をそろえて歌うことの素晴らしさを伝えたいんですよね。
子どもたちが音楽の素晴らしさを知り、今後の人生を豊かにしたいんですよね。
ならば、芸術科の先生はシェフになる必要はない。
グルメでいいんですよ。
先生の仕事は、子どもたち自身で練習できる環境を整えることと、練習結果を「うまい」とか「へた、やりなおし」と評価してやることです。
と話されました。
もへちゃんはその話を聞いて
これだ!
と感じたのです。
そして、これ以降、合唱指導が得意になったのです!
合唱曲「20億光年の孤独」での具体的な指導例
例えば「20億光年の孤独」という合唱曲を歌うことになったとしたら、「子どもたち自身で練習できる環境を整える」というのはこういうことです。
- まずCDデッキを4台(ソプラノ・アルト・テナー・バス)準備します。
- 歌をいくつかのフレーズに分けます。20億光年の孤独は8つくらいに分けたように思いますが…ずいぶん前なので忘れちゃいました。
- 範唱CDをフレーズに合わせて8つのフレーズに分けます(インデックスでもいいかな)。ソプラノ、アルト、テナー、バス、全パート入ってる歌、伴奏のみの6枚のCDでフレーズ分けをします。
あとは記事に書いたように、その日の「めあて」を具体的に提示し、子どもたち自身が工夫しながら歌える環境の元、練習の時間を保障し、最後に評価して次の日の展望を語るだけです。
『学び合い』の考え方を用いた演劇指導
1987年の初代もへちゃん組は学級で演劇にとりくみました。
それ以降、学級で演劇にとりくむことはありませんでした。
代わりに1995年から、平和集会実行委員を募り、集まってきた子たちと平和劇にとりくみました。
『学び合い』に出会ったのは2010年ですから、それ以前の指導は、やはり根性論でした(^^;)
筑紫駅銃撃事件をテーマにした平和劇「青葉」での具体的な指導例
2011年にとりくんだ平和劇は、地元の西鉄筑紫駅銃撃事件がテーマでした。
筑紫駅銃撃事件とは
1945年8月8日(終戦の1週間前)、西鉄筑紫駅に緊急停車した上下線の電車(もちろん非武装)に対して、アメリカ軍の複数の戦闘機が何度も往復して機銃掃射し、100名以上の負傷者、64名の死者を出した。
機銃掃射されている電車の中の場面が、あまりにも緊迫感がなく、「残念な中学生の劇」みたいでした。
もへちゃんは「残念な中学生の劇」は嫌
もへちゃんは、演劇について「下手」なものを見せたくありません。
反戦平和を訴えるのですから、観客の感性を揺らし、涙を流す…くらいの劇じゃないといけないと思っているからです。
だから根性論の頃からでも、キャストに対して、かなり厳しい指導をしてきました。
台詞を覚えてない子に対して
例えば、台本を渡した次の日の立ち稽古では
- 立ち位置の説明
- 動作の説明
の後、さっそく立ち稽古をします。
その時、台詞を覚えてない子がいたとしたら
君が台詞を覚えてないけん(から)、この場面の練習が進まんやろうが(進まないじゃないか)。
と怒ります。
怒られている子を見ながら、別の場面のキャストの子が、慌てて台詞を覚え始めたりしてました。
台詞が棒読みの「残念な中学生の劇」みたいだったら
台詞は覚えていても、恥ずかしさが勝ってたり、もともと感情を込めるのが苦手な子がいたとしたら
中学生みたいな劇をすんな(するな)。
と怒ります。
時には体育館の隅で涙してる子もいました。
銃撃された電車内の場面
2011年夏、平和劇「青葉」(筑紫駅銃撃事件)にとりくんでいたある日、
その日は、乗っていた電車が銃撃された場面の練習をしてました。
台詞はしっかり覚えていて、それぞれの子が役になりきって演じてたのですが…。
全く緊迫感が伝わらないのです。
ふと閃いて
今の台詞のタイミングや動作では、銃撃されて死んでいく人たちの悲惨さが全く伝わらない。
今から10分、時間をとるから、今、ステージ上にいるキャストで、話し合ってみて。
と声かけしました。
この10分間、もへちゃんも気づいたことを伝えましたが、キャストどうしで「ああでもない」「こうでもない」とアドバイスしあってました。
10分後、再演!
まだダメぇ。
台詞を言い終わった後、もう自分の仕事は終わったと思って演技してない人が多い。
自分が電車に乗ってて、突然、戦闘機に銃撃されたとしたら…を考えて。
でも、お母さんと子どもの動作はよかった。
ではまた10分。
はい、話し合いスタート。
これを何度も何度も繰り返すのです。
どんどん迫真の演技になっていきました。
- ここまで来ると、恥ずかしそうに台詞を言う子や、棒読みの子は皆無です
- 感情のこもっていない台詞や演技の子は皆無です
もへちゃんがこの日閃いた、キャストどうしで演出しあい、それを評価することでよりよいものに近づけていく…この指導方法は『学び合い』の考え方と同じだと思っています。
今だったらスマホで撮影して、子どもたちに見せるのもいいと思います。
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